人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「理科系の作文技術」 読了

先ずはリンク。

理科系の作文技術 (中公新書 (624))

理科系の作文技術 (中公新書 (624))

 

 

Amazonのレビューが高く、仕事がら、文章をそれなりに書くため、いつか読もうと積読していた一冊。

ちなみに小生、とことん文系であり、大学受験は英語と国語で勝負し、世界史が足を引っ張りながらもなんとか私立文系の、しかも法学部という経歴である。

 

文理の別に意味があるのか、という議論もあるが、それはともかく、仕事の場面では通常、客観的かつ分かりやすい文章を求められることが多く、どちらかというと科学論文に近いものを書く必要があると感じていた。

で、本書であるが、一言で説明するなら「徹底的に顧客目線を持て」ということが書いてある。

 

文章は、どんな場面で誰が読むのか、読む相手にとって最もストレスなく正確に理解できる表現とは、ということが、実例を交え、日本語・英語それぞれの注意点も踏まえ、詳細に記載してある。

至極ごもっともであり、本書の問題提起にある通り、日本の教育体系では、こんなに大事なライティングの技術を教わることは無いので、とても意義のある本である。

 

以前、興味本位でtoeicの攻略本を読んだことがあるのだが、英語というのは色々なバックグラウンドの人間が使うことから、toeicの問題文に使われるような公式な文章は、一定のプロトコルに従って書かれており(それ以外は問題に出ない!)、それを理解することが高得点の早道、というようなことが書かれていた。

グローバルではそんな風に、一定のプロトコルに従って文章を書かれることが当たり前であり、逆に言うと、本書のような、正しい技術に従って文章を書かないと、世界から取り残されるリスクもあると感じた(本書は欧米のライティング技術も援用している)。

 

本書で提示する技術は多岐にわたるので、少しずつ活用しながら、実際に書くことでしか血肉にならないと思うが、頑張っていきたいものである。

尚、本書の対象読者は、主に理解の研究者・学生を想定しており、後段は記号の使い方、引用の仕方、フォント、プレゼンテーションの作法といったところにまで及ぶので、そこまで必要ない方は読み飛ばして良いと思う。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

 

次世代リーダー育成ってなんだ

まずはリンクを共有。

www.works-i.com

 

どんな組織にも、次のリーダーを育成するという課題があるのは確かだ。

社長の仕事は、次の社長を選ぶこと、と断言する向きもある。

 

個人的に上記記事に疑問を感じるのは、次世代リーダー育成に課題を感じている企業がたくさんあるのに、タレントマネジメントなどの制度導入が進んでいないのが問題だという提起である。

寧ろこれは、タレントマネジメントなどの取り組みで、次世代リーダーが育成出来るのか、懐疑的な企業が多い、と読むべきなのではないだろうか。

 

そもそも、「次世代リーダー育成」というのは、課題を感じてない企業や状況が想定できないタイプのテーマだと思う。

その会社における望ましいリーダー、リーダーシップとはどんなものなのか?

 

今のリーダー像が定義できたとしても、将来も同じ定義で良いのか?

社内に次世代リーダーは居るのか、居ないのか、何をもって測るのか?

 

リーダーシップは育成出来るのか?

出来るのなら、どうやって取り組むのか?

 

ことほど左様に、奥の深い話なのだと思う。

小生なりの見解であるが、「次世代リーダーの育成に課題を感じてない」という状況を、「色々なタイプの、形式知化した成功体験と、組織の範となる人格を持った比較的若年の人材が多数存在する」と置く。

 

それが正解だとすれば、その状態に持っていくために、

・若いうちから権限委譲し、自身で「成功体験」と振り返れる業務経験を積ませる

・組織に埋もれさせず、人格のモニタリングをするためにも、定期的に人材に対する評価をアップデートし続ける

というところではなかろうか。

 

後者はタレントマネジメントの仕組みかもしれない。

しかし前者は会社の在り方に関わるテーマであり、仕組みだけの話ではあるまい。

 

次世代リーダーが育つ組織というのは、組織のアイデンティティに関わるという意味では、「何の商売をするか」なんかよりも、重たいテーマだったりすると思うのである。

まぁ、ご参考ということで。

 

新人さんいらっしゃい

お陰様で社会人二十年目に突入した。

我ながらよく続いたものだ。

 

それはともかく、今年も企業に新人が入ってくる時期になった。

今日ウロウロした銀座も品川も帰宅路にも、それらしき人達であふれており、大変微笑ましい。

 

それにしても日本企業というのは、膨大な採用・育成コストを費やしてでも、新人を取り続けているのだが、それは本来、組織に変化を起こすための筈だ。

単純に退職者の補充をするのであれば、即戦力の中途で良い。

 

そこを敢えて新人とするのは、それによって組織にダイナミズムを期待し、新たな視点と活力、能力を活用することによって、組織の永続性を確保する仕組みに他ならない。

ダイナミズムと書いたが、それは変化であり、軋轢であり、ストレスでもあると思う。

 

「絶え間ない階級間闘争」といっても良いかもしれない。

とはいえ、最近は若者が少なくなっているから、闘争はどうしてもシニアに有利だ。

 

そこは慮ってあげないといけないと思う。

手加減も必要かもしれないし、新人が思う存分軋轢を生めるような環境整備も大事だろう。

 

もちろん、人として論外な新人は別として、「何のために新人を採用しているのか?」その大義を忘れずに、今年も向き合っていきたい。

といっても、小生が向き合うのは主にクライアント企業の新人さんなので、「世の中にはオモロいオッサンがいるんだなぁ」と思ってもらえ、社会人も悪くないと感じられるように頑張ります。

 

いずれにしても、社会人デビューおめでとうございます。

新しいビジネスをいつかどこかで一緒に作れるのを、楽しみにしております。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

 

 

 

 

恐れを知る

今日はこの記事を是非ご覧いただきたい。

https://next.rikunabi.com/journal/20180330_d12/

 

女性向けのキャリア開発に関連する記事だが、男女を問わず意味のある内容だと思う。「次の一歩」を踏み出す為のきっかけとして、「己の恐れを知る」「無知を知る」「己の情熱を知る」ということを伝えている。

 

個人的にホント反省だなぁと思うのは、「恐れを知る」である。

営業が長く、「コンサルタント」なんていう肩書きもあったりすることもあり、どうしても「自分がいかに優れているか」、裏を返せば「バカだと思われたくない恐怖」というのを、小生も常に抱えていると告白しよう。

 

本当は、今の仕事でお金もいただけていて、それなりのプロとしてやっているのだから、「俺凄いアピール」なんて本当は必要ないはずだ。

「アピール」で誤魔化しが効くことはないし、恐怖を抱えているということは、実力の無さ・自信の無さの裏返しでもあり、結局は己の努力によってでしか、克服はできないのだと思う。

 

また、元記事の佐々木氏のエピソードでわかる通り、自分がアピールポイントだと思うところと、顧客が求めているものというのが、往往にして違うということでもある。

そこを繋ぐのが、あるいは「無知を知る」ということかもしれない。

 

顧客が真に求めていることを知るためには、顧客の立場になって考え、目の前のタスクを真剣に取り組み、それでもなお相手のことがわかっていないかも知れない、という謙虚な姿勢があって、初めて見えてくるような気がする。

それだけ取り組めることというのは、すなわち「己の情熱」に則した仕事しか有り得ないだろうから、「情熱」もまた、繋がってくる話かもしれない。

 

情熱を傾けられる分野に、謙虚な姿勢(無知の知)で臨み、真剣に努力をする。

面白くないのだが、キャリアのブレイクスルーには、そんなことしかないのかもしれない。

 

情熱を傾けられる分野を見つけるためには、いろいろな試行錯誤が必要だけれど、そのためのヒントは、また元記事をご参照していただければと思う。

丁度期末のアップとなったが、来期も頑張っていきたいと、気持ちを新たにした次第。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

 

 

 

センターピンを捉える

何事も、絶対に外してはいけないポイントというのがある。

それを、「センターピンを見抜く」という表現で述べたのは、グッドウィル創業者の折口氏であったのだろうか。

 

氏の著書にも、よくその表現が出てくる。

「プロ経営者」の条件

「プロ経営者」の条件

 

 

 

10年くらい前に読み、武勇伝として普通に面白かったので、何かのヒントになればと、当時悩んでいた後輩にお貸ししたところ、「いやぁ、センターピンですよね、センターピン!」と、いたく感動して本を返してもらったことを覚えている。

正直、事業や仕事の本質が何処にあるかを必死に考え、そこにパワーを集中し、最短ルートで目標到達を目指す、なんていうのは、みんな取り組んでいるものだと思っていたので、「こんな当たり前なことに感動する人が居るんだ!」と驚いたことを記憶している。

 

小生が仕事が出来るアピールがしたい訳ではない。

多分、常に考える習慣を身につけておかないと、積み上がるタスクや要求されるスピード感に惑わされて、みんなよく分からなくなってしまうものなんだと思う。

 

インバスケット思考なんていう概念があって、

https://bizhint.jp/keyword/98893

本も出ているが、

究極の判断力を身につけるインバスケット思考

究極の判断力を身につけるインバスケット思考

 

基本的にはセンターピンと同じ話だと思うのだが、昇格試験に出たり、研修で訓練するくらいなので、なかなか難しいという証左かもしれない。

 

新規事業でも、こういう話はよくあって、センターピンを定義しないまま、あれこれ機能を盛りだくさんにして、「なんかすごいけど、買ってくれそうなイメージが湧かない」アイデアにしてしまうのは、よくある失敗例。

キャズム2」

キャズム Ver.2 増補改訂版 新商品をブレイクさせる「超」マーケティング理論

キャズム Ver.2 増補改訂版 新商品をブレイクさせる「超」マーケティング理論

 

 にも記載のある通り、まずはイノベーター、アーリーアダプターが絶対買ってくれる価値を考えなければならない。

 

もちろん、それを考えることが一番難しいのだが、だからといってその思考をズラしてしまうと、それこそ新規事業開発のセンターピンを外してしまうことになりかねない。

「センターピン」というのは、そういうことなのだと思う。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

 

 

 

 

 

「リクルートのすごい構”創”力」 読了

相変わらずKindleの読み上げはヤメられない。

リクルートの すごい構“創

リクルートの すごい構“創"力 アイデアを事業に仕上げる9メソッド

 

 

リクルートグループの卒業生でありながら、なおかつ新規事業開発の仕事をしながら、今頃読んだのか、というのを明らかにするのはお恥ずかしい限りだが、新規事業開発に関わる方々には、一度は読んでおいて頂きたい本だと感じたこともあり、恥を忍んでネタにする(苦笑)。

ボストンコンサルティンググループ日本代表の著者が、リクルートの新規事業創出の仕組みについて、長年付き添ったコンサルタントの立場から解き明かす本である。

 

リクルート卒業生による類書は数多く存在するが、外部のコンサルタントによる客観的な分析と、自社でも応用可能な方法論を説いており、そういう意味でも非常に価値のある一冊である。

とは言うものの、「どんな人でも正しいトレーニングを積めば、ヒマラヤにアタックできるのだ」と言われて、「そうか、やってみよう!」とはなかなかならないのと同様、一つ一つの提言は納得できても、多くの企業にとって実践するハードルは相応に高いのだと思う。

 

しかし、「ここまで突き詰めれば、多分新規事業は生まれるはず」という臨界点を提示した本書の意義は大きい。

全てを実践することは難しいかもしれないが、出来ることから取り組んでみるだけでも、間違いなくプラスになるはずだ。

 

小生の経験上も、リクルートグループの新規事業を見る目と、育てる仕組みは、世界に類を見ないものだと思う。

あまり社員も意識することは少ないのだが、目先の「儲かる儲からない」という議論だけでなく、「あるべき社会の姿は何で、それをいかに実現するか」といった青臭いビジョンは、実は最も大事にされている要素だったりする。

 

そういったエッセンスを知るだけでも、本書を読む意義は大きい。

新規事業開発に関わる方には、是非一度ご覧になっていただきたい一冊である。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

 

マクロのデータを忘れない

人間、目に見えることは理解できるが、目に見えない要素や目に見えない変化には感覚が鈍くなりがちである(当たり前か)。

一つ記事をネタにしよう。

 

https://www.landerblue.co.jp/blog/?p=38645

高齢者の雇用が増えていて若年者のそれが減っているということに対し、政策ミスではなく、若年者人口が減っていて、その穴埋めでボリュームゾーン高齢者雇用が増えているという、マクロな人口動態から解説している。

 

もう一つはこちら。

http://toyokeizai.net/articles/-/213152?display=b

 

タイトルはかなり刺激的だが、人口ボーナスで経営的な甘えが許されていた過去と、グローバルな競争から取り残され、さらに厳しい未来が控える日本経済についての、データを基にした論考である。

この辺りは実は古くから言われてきた議論で、小生が私淑している神戸大学の三品和弘先生も近いことをおっしゃっていたと思う。

 

著書のリンクを貼っておく。

戦略不全の因果―1013社の明暗はどこで分かれたのか

戦略不全の因果―1013社の明暗はどこで分かれたのか

 

 

高成長を続けている企業群においても、長期のインフレ要素を排除し、本業の利益をきっちり追っていくと、エクセレントな会社は殆ど存在しないということである。

裏を返すと、如何にマクロ環境の影響が大きく、個々の企業努力が無力か、ということでもある(全く無力、とまで断言はしないが)。

 

新規事業開発でも、目先の新しさ、わかりやすいビジネスモデルに引っ張られやすいのだが、そのビジネスがよって立つマクロ環境、影響する技術がどう変わっていくのか、荒削りでも予想を立てておかないと、判断を大きく誤りやすいもの。

人口動態、社会保障、国際経済、テクノロジー、この辺りは、常に頭に入れておきたいものである。

 

自戒を込めて。

まぁ、ご参考ということで。