人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

スペックを変えるということ

まずはリンクをシェアしておく。

https://www.landerblue.co.jp/blog/?p=37904

 

ここまで小生は嫌煙家では無いが、サービス業において、全面禁煙に踏み切るかどうかというのは、大きな論点であろうと思う。

実際に、ある喫茶店チェーンで、全面禁煙にした店舗の売り上げが大幅に落ちた、という話も聞いたことがある。

 

店舗のビジネスで、喫煙可能だったところを、全面禁煙にするというのは、単なる主義主張だけではなく、サービスのスペックを変えるということになる。

即ち、「マーケティングの4P」で言うところの、「Product 」の変更である。

 

人は割と安直に「Product 」を変えるのだが、マーケティングのセオリーとしては、かつて申し上げたこともあるが、「STPが先、4Pが後」である。

 

ターゲットに最適化された4Pをデザインするのであって、4Pをいじるところから始めても、何も答えは見えて来ない。

つまり、喫煙可から全面禁煙にするということは、顧客ターゲットを変えるということ。

 

むしろ、喫煙しない顧客をターゲットにするから、店舗を全面禁煙にするという流れであるべき。

喫煙しない顧客をターゲットにしたのであれば、店舗全面禁煙も当然ながら、商品や価格、立地も含め、そちらに最適化しなければ、整合性は取れない。

 

ターゲットを変更せずに、全面禁煙だけ取り入れれば、単純に客数が減るだけで、リカバリーは出来ない。

スペックを変えるということは、即ちターゲットを変えることであり、全てを変えることでもある。

 

その覚悟を持って、スペックはいじるべきであろう。

まぁ、ご参考ということで。

ニーズのリアリティと組み立てのリアリティ

新規事業企画で検証すべきことは何か。

物凄く簡単にいうと、ニーズのリアリティと組み立てのリアリティだと思う。

 

この二つを整理、峻別しながら検証を進めていくと、結構頭もスッキリするし、作業も進みやすい。

何を検証すべきかがごちゃごちゃしていると、混乱してシンドイものである。

 

で、ニーズのリアリティであるが、さらっと言ったものの、ターゲットもニーズも明快にしておかないと、「確かにある!」という検証にならず、リアリティが深まっていかない。

結局やることは顧客のインサイトに深く切り込むのみ。

 

組み立てのリアリティの方は、まず「本当に出来るんだっけ?」という問いに答えていくことが一つ。

これは純粋に検証するだけの話。

 

さらに、組み立てのリアリティには、事業を展開させるストーリーのリアリティがある。

大きくは、ニーズのリアリティが存在していることが、ストーリーのリアリティに説得力を持たせるのだが、事業に関わる利害関係者の立ち位置が見えていると、さらにそれは増していく。

 

もう一つ、組み立てのリアリティには、段取りのリアリティのようなものがある。

上記のストーリーを遂行していくために、どのタイミングで、どれくらいの資源を投下するか、という段取り(マイルストーンということもある)である。

 

事業上のリスクとか、気にする人は気にするが、先ずはニーズのリアリティと組み立てのリアリティがないと、話は始まらない。

案外単純なものである。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

 

新規事業のために、経営は何を用意すべきか

今日のプレゼンで、お客様から聞かれた質問がこれ。

これまで、「大枠の事業領域(OBゾーン)の設定と優秀なメンバーの選定、あとは活動予算と意思決定基準の明確化」というようなことをお伝えしていたし、今回はコンペだそうだから、ほかのコンサル会社も同じことを言っているのだと思う。

 

しかし、今回のお客様は新規事業のご経験が無く、大変紳士的な会社なので、丁寧にこちら側に教えを請うてくるスタンスでご質問をされ、小生はふと思ったのだ。

この質問は、他のコンサル会社から同じ回答をされて、戸惑っているから質問されたのではないかと。

 

はっきり言って、新規事業は再現性の無い、不確実性へのチャレンジなのだ。

どんなに経験を積んでも、完璧なセオリーなんてないと、小生自身が感じているのに、経験の無いお客様が、OBゾーンの設定や予算化や意思決定基準の明確化なんて、出来るわけがないのだ。

 

いや、出来るのは出来るが、「本当にこれで正しいのか?」と不安に思いながらも、一応設定しているに過ぎないし、「一応」だから、何かあればブレてしまうのである。

コンサル風を吹かせて、言っていることは正論でも、クライアントが実現不可能なことを要求しているようでは、コンサルタント失格だろう。

 

なので、「大枠の事業領域の設定とか、予算化といったお話は、当然ご検討されているでしょう。しかし、はじめての新規事業で、何が我々にとって正しい新規事業なのか、どれくらいお金を使うべきなのか、経営としてもご判断は難しいことと思います。ご用意いただきたいのは、新規事業を推進する担当者と経営が、出来る限りコミニケーションを取る場をご用意いただき、現場と経営がともに試行錯誤しながら、解を見出していけるような環境です。また、新規事業は困難なことも多いいのですが、本来は楽しく、ワクワクするチャレンジであるべきです。担当者の方がそのように感じられる環境も併せてご配慮いただければ、あとは進めながら決めていけばよろしいかと存じます。」

というようなことを申し上げておいた。

 

ご発注いただけるかどうかはわからないが、結局それしか正解がないと思うので、どこのコンサル会社と進めるとしても、お客様にとって参考にしていただけたらなぁと思うのである。

まぁ、ご参考ということで。

「外資系セールスマン日記」読了

リンクはこちら。

https://www.amazon.co.jp/外資系セールスマン日記-森瀬教文-ebook/dp/B079KG6PGX/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1518580455&sr=8-1&keywords=外資系セールスマン日記

 

 著者の方は以前お世話になった方で、この度本を上梓されたとのことで、購入した次第。

ご本人による前書きにもあるが、外資系のエグゼクティブによる経営や専門書の類はあるものの、イチセールスマンの日々や経験を綴った本というのは珍しい。

 

ある種、二度と来ないであろう日本の金融マーケットの混乱期に、フルコミッションの証券セールスという仕事に向き合った、貴重な体験談である。

そういう意味では、体験そのものを読者の人生の役に立てる機会というのは、ほぼ無いと思う。

 

しかし、仕事に対して、どの様な姿勢と覚悟で臨むのか、というプロフェッショナリズムが、著者のお人柄であろうが、重たくならないトーンで語られるのを読むことは、結構価値があることだと思う。

著者の経験に限らず、外資系の世界は成果と報酬(リスクとリターン)のバランスが取れていないと「フェアじゃない」ということになり、ハッキリと「ノー」と言って良い文化がある。

 

それを多くの日本人は「ドライだ」とか、「自己主張が…」などと言ったりしがちだが、「プロとしてやるべきことはやる代わりに、言うべきことは言わせてもらう」というスタンスは、小生は元々とても好き。

文書の合間合間に、著者のスタンスが、明るく垣間見えるところに好感を持つし、失敗談も詳らかにされていて、先達の経験談として、大変面白く読ませていただいた。

 

外資系に興味がある人も、プロフェッショナリズムという言葉に親しみを感じる人も、読んでみて損は無いのでは?

まぁ、ご参考ということで。

強みは時に弱みにもなる

強みをさらに高めていくことは大事である。

戦略の基本であり、全てかもしれない。

 

その上で、では弱みが何なのか、その点を理解しておくことは、同じくらい大事だと思う。

弱みを克服することまでは絶対に必要ではない。

 

そんなことまでやりだしてしまうと、強みが疎かになってしまうので、まずは理解だけでいい。

何でそんなことを言うのか?

 

これまで色んな企業や人と出会ってきたが、強みや弱みの理解が中途半端で、足を取られたとでも言うべき事例をボチボチ見てきたから。

例えばであるが、営業が強い会社は、商品が弱いことが多い。

 

商品力がイマイチでも、営業が何とか売り切ってしまうから、何とかなってしまう。

そうなると、商品力を高める機会がなかなか生まれなかったりする。

 

もっとも考えられる打ち手は、商品力を上げることだが、得意ではないことを何とかするのは、結構難しいし、もし上手くいっても、強みの営業力を維持させるのはまた別のロジックが必要になる。

なので、先ずは「ウチは商品力が弱い」と認識することがスタートライン。

 

じっくり検討した上で、商品力を高める努力をするもよし、営業力を維持しつつ商品力を上げる試行錯誤をするもよし、あくまで営業力で勝負するもよし、である。

しかし、前の二つについては、「別の会社になる」といっても良い程の努力だろう。

 

商品が強くて営業が弱い会社というのもあるが、同じことだ。

強みはその光とともに、影となる弱みをあぶり出す。

 

影を無視すれば、もちろん致命的な失敗をしてしまうが、影を消そうとすれば、光もまた失われてしまう。

強みと弱み、それぞれを理解し、何をどのように伸ばしていくのか、それを上手く取り組んでいくことが大事だと思う。

 

まぁ、ご参考ということで。

昔話は昔話として

小生はかつて中学受験をし、中高一貫の男子校に通っていたことがある。

その学校も今や共学になり、隔世の感というか、遠い話になっていた今日この頃。

 

先日、ご近所の子息が中学受験をし、小生の母校を受けたものの、残念ながら、という出来事があった。

それをお聞きした時は、まぁ受験は水モノだし…などと思っていたのだが、昨日母校の情報を色々見ていてびっくりした。

 

マンモス校と言われていたのが、生徒数をかなり絞って精鋭化しており、中学受験の偏差値で小生が受験した当時から10は上がり、高校の進学実績も倍くらいになっていた。

小生の在学当時が「そこそこの進学校」とすれば、完全な「エリート校」というレベル。

 

いや、そりゃ普通受からんわ、である。

思えば在学当時、二代続けてその学校に通っている同級生がいたのだが、伝え聞くところによると、親の代は「関東の黒ボタン」と渾名される程のやんちゃな学校で、「今の子達はとても賢くなって…」というのが親からの印象だったそうである。

 

自分の子供といってもおかしくない年代の子たちが受験する今、まさに同じ状態になっていた。

いやほんと、「あんな学校も受からないなんてみっともない」なんてことを、危うく口走り、恥ずかしい思いをするところであった。

 

昔話は昔話。

過去を起点にしたり、自分の価値観で偉そうなことを述べるのではなく、常に謙虚に、冷静にものを考えたいものである。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

 

 

 

働き方改革は時間をかけて

今日、夜の時間帯に、あるクライアントのオフィスにお邪魔した。

フリーアドレスで、見渡す限りフラットなフロアに、19時現在しっかりと社員さんがお仕事をされていらっしゃる。

 

20時、21時のタイミングで、フロア全体の照明が落ちる。

自動で復旧するのか、どなたかがつけるのかはわからないが、また明るくなる。

 

おぉ、これが大企業かと思ったりしたのだが、最終的には22時完全消灯とのこと。

小生が失礼した21時過ぎの時点では、まだフロアに数人残っていらっしゃったが、その光景を見て、働き方を改革するといっても、結局は習慣を変えるということだから、まぁ時間はかかるよねと、妙に納得したのである。

 

フリーアドレスにするには、リモートワークと一緒で、ペーパーレス化とセットになる(そうしないと荷物が増え続けて動けなくなってしまう)。

遅くまで働く習慣に慣れきってしまったら、どうしても早く帰ること自体に違和感を感じてしまうので、早く帰ることを新たな習慣にしなければならない。

 

とはいえ、フリーアドレスにしたり、電気が消えたりするのは、やっぱり少しは意味があると思うのだ。

それは職場でその環境をご一緒して本当に思ったし、定時前に「ロッキーのテーマ」を流してラストスパートを促し、残業を減らした会社もある。

 

問題は、それに適応する習慣の変化に、時間がかかるということだけ。

思えば昔、「三日 三月 三年」という言葉を親から教わったものである。

 

三日できることは三ヶ月継続でき、三ヶ月継続できることは三年継続でき、それに伴って成長することが出来る、という大意である(最近は転職を考えるタイミングとして引き合いに出されるらしいが)。

「働き方改革」が騒がれだしたのも、去年の話で、たかだか一年。

 

長い目で見た取り組みを経て、きっと働きやすい環境にシフトしていくことと思う。

まぁ、ご参考ということで。