人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

自社の強みを見出す

最近クライアントに申し上げていることを幾つか。

企業活動では、何をするにも自社の強みを知っておいて損は無いわけだが、これがなかなか中の人が冷静に理解するのは難しい。

 

日本人の特性なのかもしれないけれど、大抵自己評価が低いので、自社の人間同士で議論していると、「何の取り柄もない最低の会社」みたいになってしまう。

いくらなんでもそんな訳は無いのだが、よくあるパターンである。

 

そういう場面でいつも申し上げているのは、「同業他社と比べてどうなのか?」という視点が一つ。

比較対象を持つことで、強い弱いをある程度冷静に議論することが出来る。

 

もう一つが、今の顧客はなぜ自社に対してお金を払ってくれているのか、ということを考えてもらうこと。

地域の小さなお店の横に、超巨大資本のお店が建ったとしても、売上がゼロになるわけではない。

 

そのままではもちろん潰れるかもしれないが、そういう状態でも、自分たちを「買ってくれる」顧客が居て、その人達は自分たちの何処に価値を感じているのか、そこを深掘りしていくのである。

単純なことなのだが、実は普段あまり意識しないことなので、折を見て是非インタビュー等、やってみて欲しい。

 

まぁ、ご参考ということで。

わからない事をわからないままに進められるか

今日はこの記事をシェアしておきたい。

http://diamond.jp/articles/-/150300?page=3

 

企業での新規事業、イノベーション推進にあたり、「賢い人たち」が、わかるように説明を求め、結局それがイノベーションを阻害する、という話である。

新しい取り組みを検討するにあたり、それそのものを、どれだけの人が理解できるかという論点でもある。

 

記事の大意としても、わからないことも謙虚に受け入れよう、ということになっているし、それはその通りだと思う。

ある意味、年代や視点が違う相手を受け入れるという、ダイバーシティの議論と同じだと考えているので。

 

ただ、じゃあ新しいアイデアや事業提案が、みなチャレンジするに値するかというと、それは全然そんな事はないと感じている。

「ウチの経営陣は見る目がない!」と仰る方のアイデアをお聞きする機会もあるのだが、正直「そら通らないと思います」という内容だったりする。

 

「会社がやるかやらないか」という議論以前に、極めて陳腐なのだ。

ともすれば、ただ新しいこと、自分のやりたいこと、に意識が寄り過ぎて、アイデアとして雑なものは意外と多い。

 

それを踏まえて、まじめに検討する、チャレンジすべき筋を考えてみると、

•世代間のギャップがあるもの

•不可逆な変化をもたらす可能性があるもの

あたりではないかと思う。

 

前者で言えば、親世代、子世代の趣向はわからないが、チャレンジする価値はある。

後者で言えば、安くなったものは高くは戻らないし、(議論は分かれるが)オンラインになったものはオフラインには戻らないし、モバイルになったものは多分デスクトップには戻らないので、そういう変化にはチャレンジしておくべき。

 

色々私案を述べたりしてみたが、申し上げたかったのは、みんなが理解できたらそりゃイノベーションではないけれど、目新しければ何でもいいわけではないよね、ということ。

自戒を込めて、ちゃんと考えていきたい。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

 

井戸を掘る人

今日ご一緒した大企業のトップが仰っていたこと。

対立概念は「地図で掘る場所を決める人」だ。

 

もちろんどちらも大事なのだが、ともすれば組織には「地図で掘る場所を決める人」ばかりになりやすい。

だって、井戸を掘るのは大変だから。

 

疲れるし、泥だらけになるし、孤独だし、あんまり面白くも無い。

挙句の果ては、水が出ないことだってある。

 

しかし、掘ってみなければわからないこともあるし、掘った人にしか見えないこともある。

もちろん、掘った経験は間違いなくその人の力になる。

 

だから、たとえ水が出なくても、掘ったチャレンジは讃えられるべきだし、それが健全な組織であるはず。

今日ご一緒したトップは、そういう事を熱弁されていて、激しく同意するところであった。

 

一方で、そのトップは別の機会に、「一番風呂の辛さ」も語っておられた。

イオニアとして散々苦労したにもかかわらず、出来た事例を元に、二番手以降が易々ともっと良い形で追随してくるということ。

 

だから、その苦労に見合ったリターンが得られるよう、キッチリ詰めておくように、というのがその時のアドバイスだったが、これもまた含蓄のある話である。

「井戸を掘る人」を讃えつつ、その人の苦労が、「正直者が馬鹿を見る」結果にならないよう、したたかに作り込んでいく。

 

新規事業に伴走する立場の人間として、つくづく肝に銘じておきたいと思う。

今日の学びに感謝。

 

まぁ、ご参考ということで。

転職で悩んでいる人に伝えたいこと

今は人材紹介の一線から退いているのだけれど、ありがたいことに変わらずご相談を頂いていて。

いつも同じことを申し上げているのだが、一応まとめておく。

 

①「次の次」から逆算する

転職で新しい環境に入るということは、当座のミッションが普通は設定されている。

で、それが解決した後、中途入社者は、また転職を考えざるを得ないことになる場合がある。

普通であれば、年齢も転職歴も重ねれば不利になる中で、不利にならない、むしろ選択肢が広がる「次」はなんなのか、それを考えて欲しい。

それを踏まえると、「次」を見据えた「今」もきっと変わってくると思うけど。

 

②(10年以上勤めた人に関しては特に)失ってまで得たいものは何なのか、を考える

それなりの年数を今の環境で過ごしている場合、なんだかんだでその人にはフィットしている可能性が高い。

そうなると、たとえ同業他社に移って同じ仕事をしたとしても、以前ほどにはうまくいかない。

いわば、わざわざマイナスからスタートする転職を求める訳で、そうまでして得たかったものはなんなのか、それはそれだけの価値があるものなのか、については、厳しく問い直されなければならない。

 

③一人で悶々とするより、色々な人の話を聞く

悶々と悩んでも答えが出ない「問い」は、自分の中に答えが無いので、それ以上問い続けるのは時間の無駄。

外の人間に相談するも良し、似たような境遇の人のキャリア選択を聞くも良し。

大事なことは、人の反応やキャリアを聞いて、自分自身はどう考えるのかを、客観的に分析すること。

「その考え方は面白い」「いや、それは無いわ」の繰り返しの先に、「自分らしさ」がおぼろげに見えてくる。

 

④先に辞めるな、辞める迷惑を気にしすぎるな

前段は言わずもがな。

後段については、どんなに準備しても、辞めればどのみち絶対に迷惑がかかるということ。

なので、自分のキャリアを棒に振って義理立てしても、迷惑がかかってしまうのは結局一緒。

辞めたら辞めたで、悲しいかな職場の同僚は1ヶ月もすれば在籍していたことすら忘れてしまうし、辞める人が出る前提で組織を作るのは、本来経営側の責任ではあるしね。

 

まぁ、ご参考ということで。