人間到る処青山あり

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「曖昧性とのたたかい」 読了 〜人狼を討つ銀の弾は存在しない〜

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曖昧性とのたたかい

曖昧性とのたたかい

 

 

 

年末積読在庫整理で手に取る。

何の本かというと、プロジェクトマネジメントの本である。

 

それこそ、システム開発の創成期と言っても良い時期からキャリアを積んだ大ベテランの著者が、一線を退くタイミングで後輩たちに宛てたメモ書きが元という「生の知恵」のカタマリのような本。

人狼を討つ銀の弾」というのは、本書でも数度引用されているが、プロジェクトマネジメントの古典ともいうべき「人月の神話」からの引用なのだが、すべての問題を解決してくれる(都合の良い)答えなど存在しない、という有名な戒め。

 

人月の神話【新装版】

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そういった戒めも多く記載されているし、タイトルにもなっているのだが、開発業務に常に付き纏う「曖昧性」の問題、それといかに向き合い、戦っていくかを、果敢に戦ってきた著者だからこそ醸すことができる落ち着いた筆致で綴られていく。

まさに老兵が歴戦の経験を若年兵に語るが如きだが、教訓そのものは、極めてオーソドックスである。

 

なので、プロジェクトマネジメントに悩む人間が、本書に救いを求めて手にとったとしても、「人狼を討つ銀の弾は存在しない」ということを、改めて思い知らされるだけだろう。

しかし、親に近いような大先輩たちも、今の我々と同じように悩み、苦労をし、戦い、生き延びてきたという事実を理解することは、意味があるのではないだろうか。

 

先人の苦労、知恵を、うまく受け継いでいきたいものである。

まぁ、ご参考ということで。