こんな本を読む。
業務改革、プロジェクト系の本を漁っていて、レビューが高かった本書にたどり着く。
ケンブリッジというコンサルティング会社(同社の本は何冊か読んでいる)による、実際に取り組んだプロジェクトの実録をクライアントとの共著で出すという、あまり見たことがないタイプの本である。
クライアントは住友生命。
同社の営業用端末のリニューアルプロジェクトが題材。
ケンブリッジ社は前段の要求定義、どんなものを作るのかというコンセプトメイクのプロセスまでの参加で、同社が得意とするファシリテーションを切り口にして議論を深め、またその手法を現場社員に伝授していくというミッションである。
まず、アウトプットの品質も要求しながら現場社員の底上げを図り、多分コンサルフィーも抑えるという三兎を追う大企業の偉い人がスゲー。
この三兎を追う狙い、全てを失うリスクもあるのによく決断したなと。
ケンブリッジ社もノウハウを現場に伝授することは売りの一つのようだが、それにしても、である(もちろん何も考えてなかったのかもしれないが)。
それでもって、ケンブリッジ社のファシリテーションを体感しつつ、徐々に自分のものにしていく現場社員たちがスゲー。
大企業でエリートが選抜されているとはいえ、こういうノウハウ的なものを「はい、やって」で出来る人って、小生の研修講師経験から言っても、殆どいないものである。
それをケンブリッジ社が抜けた後も、数年に亘り自分たちだけで実行し続ける社員の基礎能力の高さ。
流石である。
そしてプロジェクトは数年がかりとなるのだが、大企業なので人事異動がある。
プロジェクトのキーマンがどんどん抜けていくのだが、後から参加したメンバーに志と手法を引き続き、そのメンバーも自分のものにしていくという、異動があっても事業が継続していく組織設計がスゲー。
そういう現場がフル回転しているプロジェクトを暖かくも冷静に見守り、現場のテンションにも乗ってあげる偉い人の度量もスゲー。
上手くいったからとはいうものの、こういうプロジェクトの内実を本にして表に出してしまう広報戦略もスゲー、けどね。
いやぁ、流石でございました。
まぁ、ご参考ということで。