人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「佐藤可士和の超整理術」 読了

またリンク。

佐藤可士和の超整理術 (日経ビジネス人文庫)

佐藤可士和の超整理術 (日経ビジネス人文庫)

 

 

こちらも積読をひたすら消化するシリーズの一冊。

もう7年前の本なのか・・・。

 

著者のことをあれこれ解説するまでもないが、巷で最も話題になっていた時期に、初めての著書として世に出たのが本書。

ドコモ・ファーストリテイリング・キリン等々、著者を有名にした事例の裏話と、その思考の背景にある「整理術」について語られている。

 

いずれも「へー」という感じで、読み物として面白く、文章も平易なので読みやすい。

しかし、デザインの世界から、これだけビジネスのど真ん中に影響力を持つようになったのは、やはり著者の卓越した能力によるところなのだろう。

 

デザインからビジネスへ、という意味では、亀倉雄策氏を思い出す。

朱の記憶 亀倉雄策伝

朱の記憶 亀倉雄策伝

 

 

著者に話を戻すと、整理というのは捨てること。

捨てるということは、人間にとってなかなか辛い行為であるが、物理的に捨てるという行為を体感することに意味がある。

 

そして、捨てなかった本質的なモノは何か、ということを見極め、残したモノを、とことん大事にするのだと。

うむ、まさにビジネス、経営そのものなのかもしれない。

 

とりあえず小生は、会社のデスクとカバンの中身を、大幅に見直したのであった。

まぁ、ご参考ということで。

 

「ザ・ラストマン」 読了

まずはリンク。 

 

すでに風化しつつあるかもしれないが、かつて経営の大ピンチに陥った日立グループの、立て直しの陣頭指揮をとった著書によるエッセイ。

現在、川村氏は東京電力ホールディングスの取締役会長でもいらっしゃるのだが

もちろん当時の実績を買われてのことであろう。

 

書籍の内容は、「ラストマン」の意味から、ビジネスへの取り組み姿勢、キャリア、日立グループ再生のエピソードなど、平易な語り口で綴られており、大変読みやすい。

大手重電メーカーのトップというと、なんとなく厳ついイメージを持ってしまうが、さらにそれも70歳を超えた大ベテランの文章としては、意外なほどリベラルでフラットな印象である。

 

海外留学し転職して他社を見て戻ってきた人物の方が、これからの日立にとって本当に意味ある存在になりうるかもしれない、等々、経団連企業らしくないといえばらしくない。

お立場がお立場なので、言えること言えないことがあるのかと思うが、日立グループの再生に関しては、極めてオーソドックスなことしか書かれていない。

 

再生の戦略や現場の苦労など、結構あっさりしていて、この本でなければ知り得ない内容は特にないと思う。

再生だけでなく、ビジネスマンとは、キャリアアップ術、これからの日本企業等々、ビジネスの話題は繰り広げられるが、いずれも非常にオーソドックスである。

 

古き良き時代に育った大企業トップによる王道を語るエッセイ、という風に受け止められるかもしれないが、結局のところ、王道に勝る正道は無い、ということなのかもしれない。

ちなみに「ラストマン」であるが、川村氏が若かりし頃、上司に叩き込まれた、最後の最後まで責任をもって取り組むリーダー、というような意味合いである。

 

リクルートの「圧倒的当事者意識」、DeNAの「球の表面積」、そして日立・川村氏の「ラストマン」。

力のある会社には、社員の力を思う存分発揮せしめる文化が存在しているようである。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

 

 

 

「不恰好経営」 読了

まずはリンク。

不格好経営―チームDeNAの挑戦
 

 

実はDeNA社とは個人的に親しい方も在籍していて、なおかつ上場前からあれやこれやと接点があったので、今更読んだことを告白するのもお恥ずかしい限り。

ネット企業を舞台に5年前に書かれた本なので、風化してしまっている部分も少しあるが・・・。

 

とはいえ、南場氏が盟友と始めた創業ストーリーは、非常にエキサイティングで、時代を問わない面白さがある。

南場氏については間接的にしか存じ上げないが、本書を読んで、とても魅力的な人物なのだろうと感じたし、他に名前が出てくる関係者の皆さんも、負けず劣らず素敵なエピソードをお持ちである。

 

ご本人の弁によれば、ありのままを書いたとのことだが、「流石にもうちょっと上手くやれたんじゃないか」というくらいの事件が連続する。

しかし、優秀な人材を集めることには、南場氏は立ち上げ期からこだわり続けていて(人材業界では有名だが)、結果的にそのこだわりが、同社を今も生き延びさせている秘訣だと感じさせられる。

 

また本書には、ご主人の大病によって仕事との向き合い方を変えざるを得なかったことや、創業期の大恩人が、言うべきことを言えないまま亡くなられてしまう後悔など、生と死、人生と仕事に纏わるエピソードが綴られており、深い奥行きを与えている。

そして、7章、8章の最後半部で、戦略や仕事術、マネジメントやビジョンなどが語られているのだが、ボリュームは薄いものの、非常に本質的な意見が述べられていて、流石だと感じた。

 

特に、コンサルタントと事業会社の経営は何が違うのかという、彼女だからこそ語れる見解があり、なるほどと感心した。

コンサルタントから事業会社に転じようと考えている、若手のビジネスパーソンは、これだけでも読んでおいて損は無いと思う。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

 

組織の自己変革は、自らの手によって可能なのか

まずは本記事をご一読あれ。

www.landerblue.co.jp

 

リクルートがネット企業にシフトできたのは、もともと持っていた成果志向と行動が、インターネット時代に適合したから、という分析で、大変興味深い。

非常に納得感がある一方、ではインターネットの時代が到来しなければ、リクルートは生き残れなかったのか、端的に言えば、事業モデルをシフトできたのは偶然の産物なのか、ということを考えてしまう。

 

ここで、もう一つ興味深い資料を提示したい。

http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H29/PDF/chusho/04Hakusyo_part2_chap3_web.pdf

 

2017年度版の中小企業白書の一部なのだが、この資料の7ページ「新事業展開の成否別に見た、新事業展開を検討する背景 」というグラフをご覧いただきたい。

ものすごく雑なまとめをすると、「前向きな姿勢は成功しやすく、後ろ向きは失敗しやすい」という感じだろうか。

 

一つ取り上げると、成功企業と失敗企業で最も乖離があるのが、「顧客ニーズへの対応」というものである。

つまり、「顧客起点」で考えられるかが、勝負の大きな分かれ目といっても良い(もちろんそれが全てでは無いが)。

 

逆に、今の事業が厳しくなってきたから、というような「自己都合」のアプローチは失敗しやすいことを示唆している。

リクルートの話に戻ると、先程触れた「成果志向」というのは、顧客にとっての成果志向であり、「顧客起点」と同義である。

 

なので、ネット企業になれるかどうかにかかわらず、新事業を創出し、それに即した組織に自己変革し、高い競争優位性を確保し続けた可能性が、高かったのではないだろうか。

冒頭の記事を読むと、インターネットの登場は、企業のイノベーションを促した面もあるが、寧ろ、リクルートの「顧客起点」という本質的な強さを際立たせ、「顧客起点」ではない企業の退出を早めた方に強く効いたようにも感じられる。

 

イノベーションという言葉には、どうしても新しい価値の創出のようなイメージが付いて回るが、淘汰のスピードを早める効き方もあるのだと思う。

それを考慮すれば、イノベーションが求められる時代にこそ、本質的な強さを追求し、自らを成長させる意思が重要なのではないかと感じる。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

 

 

まじめに頑張ればまあまあ戦える

昨日、「イノベーションのジレンマ」という本の書評をアップしたけれど、名著とは言え、果たしてどれくらいのビジネスパーソンが読んだのだろうか。

百万部は売れていないとしても、五十万部ははけたとする。

 

そのうち、学術研究目的を除き、読んでも「ちんぷんかんぷん」だった人を除き、仮に八割の心に残ったとして、四十万。

労働人口六千万人のうち、「意識高い系」上位が読んだとすれば、トップの0.7%で、「意識高い系」偏差値75である。

 

大学受験の時、偏差値75って、現実に見たことあっただろうか?

ちょっとへんな尺度だが、ビジネス書をちゃんと読んで理解するだけでも、それくらいのレベルには達しているのかもしれないのである。

 

それ以外にも、新人の頃に厳しく言われた行動規範を守る人は、年次とともに減っていくし、新人の頃と同じようにインプットし続ける人も、年々減っていく。

主観だが、四十歳過ぎて、新しい領域をガリガリインプットしている人なんて、一割居ないんじゃないだろうか。

 

偏差値75は大袈裟としても、トップ一割でも偏差値は63、なかなかだ。

粛粛とインプットするだけで、そのレベルには到達できるとするならば、仕事で成功するにあたって、「まじめにコツコツ頑張る」以上の方法は存在しないのではないだろうか?

 

ともすれば、無責任な「仕事術」が飛び交う昨今、「まじめにコツコツ頑張る」ことの重要性は、もっと評価されて良いように思う。

往往にして、もっとも単純な答えが、正しい答えであると感じている。

 

まぁ、ご参考ということで。

「イノベーションのジレンマ」 再読

毎度リンクを貼っておく。

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

 

 

原著は97年刊行とのことなので、20年以上経過しているから、ビジネス書としては古典の部類に入るであろう。

今なお読み続かれるということは、それだけの示唆に富む本ということでもある。

 

一応、小生なりに解説をしておくと、優良企業は、既存の技術・ビジネスモデル・顧客に最適化された組織ゆえに、「海のものとも山のものともつかない」破壊的なイノベーションに資源配分できず、遅れをとってしまう(最悪は淘汰されてしまう)ものであるという分析と、それに対する処方箋を述べたものである。

「ジレンマ」が起きる必然(と言って良いだろう)の分析は、豊富な事例を引き合いに、精緻に積み上げられており、圧巻である。

 

ポイントは、破壊的な存在は大抵、ローエンドの、安くて性能が低いが、既存品と違う特性があるところから始まる、というもの。

既存のプレイヤーも当然研究しているが、顧客に聞けば「いらない」と言われるし、既存商品より儲からないから手を出さない。

 

しかし、新規参入のプレイヤーが、「違う特性」の生きる新しい顧客、新しい利用シーンを開拓し、普及が始まると、(そのあとは産業によって異なるのだが)技術向上とともにハイエンドを侵食したり、新しい顧客がスタンダードになって、既存品市場そのものが衰退していく、という流れである。

その流れは、既存ビジネスの「深堀り」でも到達できないし、顧客の声を聞いても出てこない、というところに、本書が提示した最大のインパクトがあるだろう。

 

なお、それに対する「処方箋」も明快に記載してあるが、基本的には上記の通り、新たな技術に対して、違う組織構築、違う顧客開拓を実施し、トライアンドエラーを図っていく、というものである。

まさにその通りにすべきだと思うが、儲かるかどうかわからないビジネスを、小規模といえ別組織で運営していく決断は、既存の事業に最適化された組織では、結局のところ高難度な意思決定ではないかな、とも感じる。

 

ちょっと意地悪な言い方だが、正しい示唆に富み、実行可能であれば、すでにそのアプローチは常識になっていて、20年も読み継がれないのではないかと思ったり。

とは言うものの、正論というのはどんな時も、諦めず愚直に実行し続けなければ、社会がより良くなることは起こり得ない。

 

今まさに、多くの企業でイノベーションが求められているタイミングだからこそ、改めて読まれる価値がある本だと考えている。

オープンイノベーションも、ボトムアップの提案制度も、事業のタネを作るために有効な方法論だと思うが、この「ジレンマ」を解決するための体制を持たなければ、結局タネは育たず枯れてしまう。

 

経営者の方々、イノベーションを期待される経営企画系の方々、事業そのものを作る方々で、まだ読んでいない人は、是非ご一読を。

最後に、本書の難点を挙げるとすると、少々長い、というのがあるので、その点はご覚悟を。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

署名活動のように新規事業を進める

これ、別に実績が証明された方法論でもないのだけれど、仕事の進め方の一般論として、いかに周囲を巻き込んでいくか、というアクションはあると思う。

実は個人的には、あんまり得意ではないのだけれども(苦笑)。

 

しかし、新規事業を考える方々が意外と忘れがちなのは、事業に取り組むのは自分一人では無いということ。

一人では能力に限界があるから、というのもあるけれど、結局どこかのタイミングで会社のリソースを使うわけで、そのリソースを提供してくれる人、リソースを使うという意思決定をする偉い人、初期顧客として参加してくれる人、同じく事業パートナーなど、大勢を巻き込んでいかなければならない。

 

要するに、仲間を増やすということだ。

署名活動のように、と書いたけれども、それは活動の趣旨に賛同してくれる、事業の仲間を増やす活動ということだ。

 

もう一つは、仲間を増やすとして、一人一人口説いて行くのか、という論点がある。

しかし、一人一人口説いて行くプロセスは、決して逃げてはいけないものの、物凄く手間も時間もかかる。

 

政治の世界では、「アジェンダセッティング」なんていう言葉があるけれど、巻き込みたいコミュニティに対して、正しいアジェンダが提示できれば、自然と仲間は集まって行く。

いや、究極の理想は、放っておいても「それ、ちょっと手伝わせてよ」という人々が集まる状態だ。

 

マーケティングといってもいいのだが、仲間が集まりやすいアジェンダを整理していき、自分のやりたいことと上手く折り合いをつけていけると、凄く上手くいく可能性が上がる。

そして、巻き込まれた人達の「うねり」に押し上げられる形で、起案者自身も成長していく。

 

そして、いやらしい話だが、関係者が多くなったプロジェクトは、簡単には潰しにくい。

会社の正しい意思決定を阻害するアクションかもしれないが、企業内起業家、イントレプレナーたるもの、”Too big to fail”を狙うくらいの強かさがあっても良いのではないだろうか。

 

どうも、「あなた自身が本当にやりたいことは何か?」みたいな、起案者の内省を促すようなアドバイスも多いのだが、それが無い人は、内省しても出てこないし、ある人はある人で、独り善がりでは形に出来ない。

署名活動のように新規事業を進める、というのも一つの方法論ではないだろうか。

 

まぁ、ご参考ということで。