人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

本気で働いた経験はあるか

社会人経験ももうすぐまる20年を迎えようとしている。

偉そうなことを言いたいとは思わないし、言えるような立場とも思っていない。

 

しなくていい苦労はしたような気はするし、エージェントという多くの人のキャリアに関わる特殊な仕事をしてきた自覚はあるけれども。

そういう小生が、それでも若い方々にそれっぽいことを僭越ながら申し上げる時に、必ず問うことがある。

 

それが、「本気で働いたことはあるか」である。

死ぬほど働いたことは、結構な人があるかもしれない。

 

しかし、死ぬほど働いたことと、本気で働いたことは違う。

死ぬほど働くのは、「働かされた」状況も含め、外的要因でも起こりうるが、本気で働く経験は、己のモチベーション、すなわち内的要因が整わなければ起こりえない。

 

死ぬほど働く経験に意味がないとは言わないが、本気で働いた経験に比べれば、大した価値はない。

本気で働いたことがある人間は、強い。

 

モチベーションが最大の状態を知っているから、自らが何を求めているかを理解しており、迷うことが少ない。

本気になれば、どこまでできるかを知っているから、「頑張りの天井」が高いし、余裕もある。

 

本気で働いた時の凄さを知っているので、周囲の人の可能性を信じられるし、本気になれるように導く力がある。

死ぬほど働いただけの人間には、そういったことはない。

 

しあし、そんな風に本気になれることを見つけるのは難しい。

少なくとも出会いの運はあると思う。

 

目の前の仕事を一生懸命取り組んだら本気になれることもあるが、一生懸命取り組んだのに、どうしても本気になれないことは、ある。

そこは、一生懸命目の前のことをやり切りながら、本気になれる仕事との出会いを、貪欲に求め続けるしかないと思う。

 

そういう職業人生は、深く考えずにスルスルとこなすより、ずっと不器用で泥臭いものになるだろう。

しかし、そうやって頑張った先には、揺るがない自信と、確固たる実力、仕事を心の底から面白いと思える懐の深さが待っている。

 

本気で働いた経験を持った人々が、数多く生まれることを願ってやまないし、今の仕事を通じて、その一助になれたらな、と思う次第。

まぁ、ご参考ということで。

「続 ドロップアウトのえらいひと」 読了 〜過ぎ去る時代と生き方と〜

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続 ドロップアウトのえらいひと

続 ドロップアウトのえらいひと

 

 

Kindleのデイリーセールでレコメンドされ、そこそこレビューも高かったので、キャリア論的な観点でプラスになればと思ってポチった一冊。

比較的自由な生き方をしている33人の来歴と仕事等を紹介している。

 

取り上げられる33人は、同じような生き方をしているであろう著者の何十年来という友人も居れば、友人つながりで出会った付き合いの浅い人もいて、色々である。

本書自体がやや古いということもあり、年齢的にはバラけているものの、バブル期前後を謳歌した年代が多く、小生にとって見れば10〜20歳くらい上。

 

バーのオーナーとかクラブのDJとか、どうも著者が夜遊びする中で、街で出会った人々という印象である。

小生も20代の頃は夜遊びしたものだが、正直、憧れも共感もあんまりない感じ。

 

本書で描かれているような人生があることは、全く否定はしないし、それはそれで素晴らしいと思うけれど、小生も夜遊びから足を洗ってしまうくらいだから、特に刺さらないというところだろうか。

70年代のアツい感じ、80年代のキラキラした感じというのは、本書に限らず色々目にする機会はあって、個人的にはリアルタイムじゃないから「刺さらない」という点はあるものの、それ以上に90年代以降や現在に至るその後も色々あったことを踏まえると、あんまり懐かしむ話もねぇ、というのが基本スタンスである。

 

むしろ「今」の人達がどんな風で、どんなカルチャーに親しみ、何処へ向かおうとしているのか、という方に強い興味を抱くタイプなのである。

雑誌連載がもとなので、比較的ライトに読めるから、興味のある方は。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

「暗黒・中国からの脱出」 読了 〜一度冷静に彼の国の状況を理解したい〜

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背筋が寒くなり、心は熱くなるという不思議な本である。

かつて民主化運動に従事し、現在タイに亡命している元中国共産党幹部による、官憲からの逃走・亡命に至る手記で、時期としては2013年前後とごく最近の話。

 

大学講師だった著者が、習近平政権初期に、かの政権が掲げる反腐敗と同様のテーマで、合法的なデモ活動に参加していたにもかかわらず、いつの間にか反社会的勢力として追われる身に。

以来、およそ二年に渡る国内外の逃亡、収監・尋問・再逮捕・脱出を経て、亡命に至るまでの克明な手記。

 

あたかも第二次大戦中のレジスタンスのようでもあり、ミャンマー国境域の軍閥の手引きで他国に出入りするあたりは冷戦時代のスパイ小説のようでもあるが、数年前(そしておそらく現在進行中)の話である。

とても現実とは思えない内容に驚き、如何に我々が表層的な情報で彼の国のことを判断しているか、ということを知らされる。

 

本書の終盤、密入国したタイの農家の女性に、「中国は良い国だ」と言われ、複雑な心境になるシーンが綴られる。

「爆買い」のイメージで豊かな国と思われているのかもしれないが、そんな人々は社会階層の極めて少数の人々だし、中国の辺境の農村地帯などは、そのタイの農村より社会インフラが脆弱で、そもそも「良い国」なら亡命などしない。

 

逃亡生活とそのプロセスでの人々との出会いとともに、そんな彼の国の実態が語られていく。

しかしそれにしても、綴られる内容がシリアスなので、非常に不謹慎な表現で申し訳ないのだが、本書は非常に「読ませる」のである。

 

水滸伝孫文などの英雄譚に思いを馳せることで、逃亡生活の支えとした記述があるのだが、まさに大権力を相手に、持てる力を振り絞り、多くの仲間との出会いと別れ、時に危ない橋を渡りつつも、人の情や義に支えられて生き延びていく様は、まさに中国の武侠小説のようで、返す返す申し訳ないが、ワクワクドキドキである。

著者が、昔でいう科挙通過者のようなスーパーエリートで、経済学などを専門に持ちつつ、友のために漢詩を詠む、という高い知能と深い教養に裏付けられたものだと思う。

 

ビジネスの世界でも、中国との関わりは最早不可欠のものとなりつつあるが、本書を読んでみて、今一度冷静に彼の国の状況を理解したいものだと、強く感じた次第である。

まぁ、ご参考ということで。

 

 

 

「入門 犯罪心理学」 読了 〜エビデンスに基づく議論はいかに大事か〜

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入門 犯罪心理学 (ちくま新書)

入門 犯罪心理学 (ちくま新書)

 

 

大学の教養科目で心理学を取っていたりして、昔から心理学に興味はあるのだけど、Kindleのデイリーセールでレコメンドされ、最新の犯罪心理学事情に対する驚きを持った高評価レビューを目にし、興味を持って読んだ次第。

犯罪心理学」というと、「羊たちの沈黙」とか、心理分析系のストーリーやノウハウ系の話を想起させ、興味津々だったりするわけなのだが、医学的にも統計学的にも有為な効果効能はなく、グローバルでは過去の遺物なのだそうである。

 

医学的なエビデンスがあるアプローチは認知行動療法のみ、ということになっていて、

cbt.ncnp.go.jp

フロイトやらロールシャッハ・テストやら、などなど、昔心理学の授業で取り上げられたおなじみのものは、残念ながらエビデンスが無いようである(フロイトはなんとなくわかる)。

とは言え、日本の臨床や犯罪の現場では、未だに心理分析等が活用されているらしく、それはそれで大丈夫なのかと不安になるが。

 

本書を読んでいて、エビデンスという言葉で想起させられたことはもう一つあって、結局、どのような犯罪が多いのか、ということを客観的に議論することの重要性である。

重犯罪が右肩下がりというのは、ある程度周知のことと思う。

 

結局は窃盗とか、詐欺になるし、その中で犯罪心理学が登場するケースというのは、その一部の累犯者にどう対処するか、という場面。

それ以外の犯罪もそうだが、累犯者の殆どの場合は、「患者としてのケア」が必要になる人物。

 

あえて誤解を恐れずに表現すると、やっぱり「普通じゃない」ので、刑務所に閉じ込めておくより、治療が必要というのが正解のようだ。

具体的にそれをどうするのか、というのはもちろん幅広い議論が必要で、本書では問題提起に留まっているが、一国民として深く考えさせられる。

 

ビジネス的な示唆を敢えてひねり出せば、エビデンスに基づく議論がいかに大事か、ということと、日々知見というのアップデートされているので、アンテナを高く持つべし、というところ。

なお、筆者の一線の臨床家、研究者としての謙虚さ、丁寧さについては、非常に好感を持った。

 

まぁ、ご参考ということで。

「僕が18年努めた会社を辞めた時、後悔した12のこと」 読了 〜このアドバイスはいつの時代まで活きるのか〜

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僕が18年勤めた会社を辞めた時、後悔した12のこと

僕が18年勤めた会社を辞めた時、後悔した12のこと

 

 

たまたま著者のブログを読んだことがあり、ポチっていてしばし失念していた一冊。

Kindleアプリがアップデートされ、在庫の書籍順が入れ替わっており、「あれっ」という感じで読み始めてしまった。

 

著者は現在50代後半で、新卒で百貨店に入り、タイトル通り18年間勤務した後、早期退職に応募して起業した方である。

本書では、所謂日本のサラリーマン的なことが嫌で、自分探し的に迷う20代も経験しながら、遅咲きで仕事に没頭する30代〜40代前半、みたいな経験が綴られていく。

 

日本のサラリーマン的なことが嫌だったり、迷う若手時代なんかは、小生も凄く共感するし、通読すると、著者は普通のサラリーマンだったらなんとなく「流している」ことが納得できず、しなくて良い苦労をした人なんだなというのがよく分かる。

で、「後悔した12のこと」というのが、もっとちゃんと「サラリーマン」をやっておくべきだった、というような話で、それを若者向けのメッセージとして発信しているのだけれど、そこもまぁ一応は共感する(ちょっと12項目も続くと「親父の小言」臭がするが(笑))。

 

ただ一方で、疑問にも思うのだ。

15〜6年下の小生世代へのアドバイスとしては有効だったかもしれないけれど、今の20代や30代前半の会社員に、果たして通用するのかなと。

 

もちろん、組織に所属する人間として普遍的な部分はあるだろう。

しかし、いまの仕事を回すだけでは間違いなく右肩下がりという業界が殆どの日本の会社において、その組織の中で「上手くやる」方法論に、どれほどの価値があるのか?

 

多様な働き方やキャリアパスが増々広がっていく未来において、同じくどれほどの価値があるのか?

今の若い人が、この本を読んでどんな風に感じるのか、凄く気になった一冊。

 

ひょっとしたら我々世代が「葉隠」を読んで感じる共感と違和感、くらいの遠さなのかもしれないな、と思ってみたり。

役に立つかどうかは保証しないが、内容的には比較的大きな会社に務める20代〜30代前半向けの本なので、そういった方は一度読んでみても良いのでは。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

「大前研一ビジネスジャーナル総集編 2014-2018」 読了 〜パワーに圧倒される〜

まずはリンク。

 

新年一発目の読書メモ。

どんな本かと言うと、大前研一氏が定期的に刊行しているテーマ別の経営情報誌である、「ビジネスジャーナル」の総集編である。

 

ITやグローバル、社会体制などの折々のテーマを取り上げ、大前氏へのインタビュー、主催する経営者向けセミナーでの講演内容がまとまっているのだが、それの15冊分ということ。

2014年からになるので、世界情勢についてはオバマ政権後期からだったりして、時期的に古いものはもちろんあるのだが、議論そのものが古いということはない。

 

以前から氏の見解や意見には、「実現は難しいのかもしれないけど、出来たら本当に良くなるんだろうなぁ」という説得力があると感じていたが、まぁ全編そんな感じである。

クローズドなセミナーでの講演も収録されているので、「いやいやそれは言い過ぎ」「そこはちょっと違うかも」みたいな発言もあったり、定期刊行物を一気読みする格好になるので、内容の重複もあるのだが、濃い内容の本である。

 

小生は毎日新規事業ばっかり取り組んでいるので、語られる内容はもちろん知っていることも多いが、それでも3〜4割は初耳のことだったりして、さすがである。

大前さん、今年76歳ですか…バケモノ(褒め言葉)ですね、という熱量と物量である。

ja.wikipedia.org

 

新規事業を企画することになってしまったけど、やったこともないし方向性の指示もないし、はてどうしよう?というような方は、一度読んでみることをおすすめする。

きっとヒントが得られるに違いない。

 

ただし、【15冊合本版】というだけあり、膨大な長さ(読みやすいので辛くはない)なので、相応の覚悟を持って臨んでいただきたい。

新しいことにチャレンジするなら、本の15冊くらい読みましょう。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

考えるのではない、行動するのだ

李小龍じゃないよ。

新規事業に取り組む際に、未経験者が一番やってしまうのが「一生懸命考えること」だと思う。

 

でも、よほどの天才でもない限り、考えて凄いアイデアが出て来ることは、残念ながら無い。

凄いアイデアはそれが出せる人が居ないと生まれないので、三人寄っても文殊にならないことも多い。

 

新規事業は「一万人が同じことを考え、そのうち百人が実行に移し、一人だけ成功する」と言われるくらいだから、ウンウン唸って考えたアイデアで勝負するのは、早々に諦めた方が良い。

では何をするのか?

 

仮説を立てたら顧客の声を取りに行く。

早々に収支計算に入ったり、企画書に着手してしまう。

 

デジタル、アナログ問わず、プロトタイプ作りや実証実家にトライする。

つまり行動するのだ。

 

実際に人に会い、手を動かして得られる知見の方が、考えることの何百倍も意味がある。

発想法とかリサーチが役に立たないとは言わないが、会議室に居る時間は極力減らし、外に出るべき。

 

もちろん外に出るというのは、本社の外のコワーキングスペースに居たり、スタバでMacBookを開くことじゃないからね。

まぁ、ご参考ということで。