人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

人間には「伸びしろ」しかない

謙虚であることは、一般的には美徳とされているけれども、自らが劣っているかのような口ぶりの人に対しては、個人的に違和感を持っている。

あたかも自分はマイナスの存在で、まだまだスタートラインにすら立てていないかのような表現だ。

 

本当にそうなら、そもそも社会人としてスタートラインにすら立てていないはずで、だとすると、マイナスに貶める行為というのは、スタートラインの状態から一歩前に進むということに対して、後ずさりしようとしているように感じるのだ。

能力的な出来不出来というのはあるかもしれないが、本来、人間にマイナスの存在は無いと思っている。

 

目指す姿、プラスの遥か先を定めた上で、その姿といかにギャップがあり、それをどのような努力で埋めようとするのか。

謙虚であるべきだとすれば、理想像に近づく真摯な努力、という文脈で語られるのが正しいと思う。

 

それを一言でいえば、人間には「伸びしろ」しかない、ということ。

「自らを信じる」から「自信」になるのに、それを自ら貶めてどうするのかと。

 

全ての人の可能性を信じて、日々の仕事に向き合いたいと思う、今日この頃である。

まぁ、ご参考ということで。

 

「ロジカル・プレゼンテーション」 読了 ~コンサルの聖遺物とはまさに言いえて妙~

リンクを張る。

ロジカル・プレゼンテーション――自分の考えを効果的に伝える戦略コンサルタントの「提案の技術」
 

 

以前、こちらの本を読み、前著である本書を読まねばと思った次第。

問題解決――あらゆる課題を突破する ビジネスパーソン必須の仕事術

問題解決――あらゆる課題を突破する ビジネスパーソン必須の仕事術

 

 

小生による感想文はこちら。

dai19761110.hatenablog.com

 

「問題解決」の読後感から、期待は否応なしに高まるわけだが、しっかり答えてくれた一冊。

「問題解決」同様、ビジネスで実際ありそうな物語パートと、続く解説という構成である。

 

タイトルが「プレゼンテーション」となっているが、どちらかというと「コミュニケーション」それも「問題解決」同様、ビジネス全般で必須であり重要な「コミュニケーション」を題材にしていると言って良い。

なので、全てのビジネスパーソンにとって役に立つ一冊となっていると思う。

 

もちろん学生が読んでも良い、という構成にはしてあり、小生は娘が大学生になったら、本書と「問題解決」を徹底的に理解して実践できるようにするトレーニングをやりたいと思ったくらいである(苦笑)。

個人的に膝を打つほど感心したのは、ビジネスの場面で「突っ込まれる」パターンというのは、「本当にそうなの?」と「それで全部なの?」の二種類しかないと喝破しているところ。

 

前者は論理展開が、後者は網羅性が伝わってない(もちろんそれぞれにアラがあってはならないのだが)事象とし、相手に応じた対処策まで提示している。

その他、このような示唆が満載であり、Amazonのレビュアーの中には、本書を「コンサルの聖遺物」と評す人もいて、まさに言い得て妙、おすすめの一冊である。

 

一つだけ、本書の内容とは関係なく、気になったことがあった。

この本、2004年の初版ということで、もう15年も前に記されているのであるが、全く古さを感じさせないのである。

 

ということは、15年経った今も、日本企業では物語パートの様な悲喜劇が繰り返されているということで、ビジネスの環境もそのままならば、このような優れたノウハウが生かされないまま、今に至っているのではないか。

その恐ろしさの方に、背筋が凍るのである。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

 

 

 

縁を繋ぐ

人材紹介業をがっつり取り組んでいた時に、果たして我が業界はどれほど転職市場に貢献しているのか、調べたことがある。

当時、年間300万人くらい転職していたのだけれども、大手のエージェントの売上高などを積算してみただけだと、エージェント経由の転職は多分1割〜2割くらい。

 

ということは、殆どの人が求人広告とか、エージェント以外のルートで転職していることになる。

別のタイミングでは、当時小規模なブティック型エージェントに在籍している中で、なかなか出会えない若者はどのように転職しているのかも、調査した。

 

n数は少なかったが、若手人材の結構な割合が、知人友人経由で転職していたことがわかった。

ということは、転職を考えている人にとって、いわゆる転職エージェントだけでなく、幅広く社外の知人との関わりを持っておくことが重要、ということになる。

 

もちろん、転職の全てを是とするわけではない。

ただ、新たなチャンスは、日々の関わりの中で得られた細い縁がきっかけである、ということは申し上げておきたい。

 

縁を得られるのは、確かな仕事をしていることが前提だし、それを繋ぐのは人間関係の機微によるところではあるけれども、そこに心を砕いていれば、機会は必ずやってくる。

悩むのはそれからで良いのだが、いい仕事をしていれば、必ず声は掛かるものである。

 

まぁ、ご参考ということで。

「1分で話せ」 読了 〜ビジネスには必ず相手が居る〜

リンクを貼る。

 

伊藤さん、読むのが遅くなって申し訳ありません。

というわけで著者とは何度かお会いしたことがあるのだが、それはともかく、小生もプレゼンの方法論についてのレクチャーをしなければならなくなったため、拝読した。

 

この1年、ビジネス書の中ではかなりヒットした本なので、お読みになった方も多いかもしれない。

プレゼンテーションの有用性、基本的な組み立て方、スタンスなどのレクチャー部分が前半、ケーススタディのような構成の後半、という仕立てである。

 

内容はシンプルで、直ぐに実践できる内容になっていると思う。

「1分で」とは言うものの、世の中「エレベーターピッチ」という30秒の世界もあるのだし、むちゃくちゃ難しい話では無いはずだ。

 

ちなみに小生は、会議の仕切りやワークショップを執り行ったりする機会も多いので、大勢集まった場面で「一言目」を発するときは、その場の趣旨を30秒の尺で喋れるように、事前にまとめておくことが多い。

若い頃に、まず要点を30秒、それから詳細に入り、最後にまとめで30秒という風に仕込まれたので、癖になっている。

 

実は面接の時の自己紹介も同じだと思っていて、冒頭に30秒でサマリー、それから詳細に入るようにしているが、どんなに転職回数が多くなっても(笑)、全体で5分以内にまとめるようにしている。

ということは、勝負どころは「何を削るか」であり、削りまくる中で、「絶対に伝えなければならないことは何か」ということである。

 

そして、「絶対に伝えなければならないことは何か」を考えるということは、「相手が何を求めているか」を考えることでもある。

本書を一読して改めて感じるのは、伝えるという行為には、必ず相手が存在するということだ。

 

顧客視点、常に意識しておきたいものである。

まぁ、ご参考ということで。

「心理学的経営」 読了 〜経営とは人に対する理解〜

リンクを貼る。

心理学的経営 個をあるがままに生かす

心理学的経営 個をあるがままに生かす

 

 

先日こちらのレビューを書き、予告した通り(?)本書を手に取る。

dai19761110.hatenablog.com

 

本書は、株式会社リクルートの創業メンバーである大沢氏が、経営に心理学的な観点を導入することの意義を説いた93年初版の復刻版である。

リクルートの創業期を支えたのは、この大沢氏のコンセプトによるところが大きいし、同社の二番目の商品となるSPI試験を開発できたのは、大沢氏の知見によるものである。

 

その辺りの経緯はこちらに詳しい。

dai19761110.hatenablog.com

 

この本を読んでしまうと、

dai19761110.hatenablog.com

ユングフロイトあたりが出てくること自体、現在の感覚では違和感があるのは正直なところだが、それまで無機質で定量的な経営という概念に、心を持った生身の人間とどう向き合うか、というコンセプトを持ち込んだ功績は大きい。

今でこそ当たり前になっているので、価値を感じにくいかもしれないが、50年以上前から実践してきた著者の言葉は偉大である。

 

経営に関する組織論は、終わることなく新作が続くが、それらの原点ともいうべき本書は、組織・人事に関わる方々に、一度は読んでいただきたいと思うのである。

まぁ、ご参考ということで。

 

出世大作戦

今日はある議員先生の勉強会に潜り混んでいて、某官庁の局長さんから1時間弱の講話を聞く機会をいただいた。

講話といっても、ある政策分野について、官庁としての取り組み方針や展望などについての説明と、ちょっとした質疑応答である。

 

で、まぁその局長さんの優秀なこと!

申し訳ないが、見た感じは「昭和のサラリーマン(といっても平成元年入庁とかだったら昭和ではないw)」な感じで、欧米系のエリートと並んだら、ビジュアルはちょっとアレだけれども(苦笑)、能力的には全然勝っているんじゃないかと想像させる。

 

実際、世界中の行政の偉い方々と、英語で普通に渡り合っているんだと思う。

それにしても、である。

 

あの官公庁の文字だらけのパワポ50枚を次々にスライドさせながら、講話の要点は何で、各スライドのポイントはどこで、なおかつスライドに記載がないが重要なトピックスを織り交ぜつつ、適切にテーマ繰り返して聴衆を迷わせることなく、聞きたかったことや官庁としてのメッセージをしっかり伝え、最後はジョークでしっかり落とす。

言葉も、小生が認識しうる限り完璧な日本語で、誰からもクレームが入らないような中立さを保っており、声もしっかりしていて聞き取りやすい。

 

年に一回出会えるかどうか、というくらいの、溜息が出るようなプレゼンであった。

続く質疑応答も、当意即妙、的確な受け答えで表現も非常に丁寧、全く隙を感じさせない。

 

局長さんにとっては散々しゃべっているテーマかもしれないが、たかが議員先生の私的勉強会のために、スティーブ・ジョブズばりのリハーサルをするわけがなく、多分「あの資料とあの資料をつなげばこれくらいの尺、メッセージはこんな感じ、落ちはアレ、多分質問はこれとこれ、まぁなんとかなるかな」くらいの準備だと思うのだ。

それでやりきってしまう凄さ。

 

こんな優秀な人材が、国の重要なポジションに居ることに、まず国民として安心する。

そして、優秀な人がちゃんと評価されて偉くなっていることに、勧善懲悪の時代劇を見ているようなカタルシスがある。

 

そして思うのだ。

偉くなりたかったら、「こいつをこんなポジションに留めておくのはもったいない」と周囲に思わせるだけの力を発揮しなきゃいけないんだなと。

 

小林一三の言葉に「下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。そうしたら、誰も君を下足番にしておかぬ。」というものがあるが、まさにそんな感じである。

http://earth-words.org/archives/4735

 

どうやったら会社から評価されるかとか、社内マーケテイング的な動きも、会社員を続けていく中では必要かもしれないが、まずは実力を磨くことだよね、という当たり前のことを、改めて思い出させてもらった。

いや、優秀な人材に出会うと、その興奮を肴に何杯でも酒が飲めるのは、根っからの人材エージェントなのだろうか(笑)。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

 

 

 

「NETFLIXの最強人事戦略」 読了 〜戦略人事とはなにか〜

まずはリンク。

NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く

NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く

 

 

タイトルの通り、人事界隈ではネットフリックスという会社の人事・組織論は時折話題になっていて、個人的な興味から手にとった一冊。

話題になった元は、シェリル・サンドバーグに「シリコンバレーから生まれた最高の文書」と言わしめた、ネットフリックスのカルチャーガイドとされるスライドである。

 

tkybpp.hatenablog.com

こちらはこちらでご参照いただきたい(「求める人物像」みたいな話ではある)。

 

本書は、創業期から14年にわたり、同社の人事責任者を勤めた著者による、人事のあり方・考え方を説いた一冊。

アカデミックな本というよりは、創業期でもあり、エピソードを交えた半自伝のようでもあり、組織論、企業文化論でもある(そういう意味では、裾野が広い本であろう)。

 

ネットフリックス社の特徴というのは、シリコンバレーで急成長した企業というだけでなく、何度か事業モデルの転換を成し遂げているところと言える。

DVDの郵送レンタルから、映像のストリーミングへ、そして映像制作へと、それぞれ別の競争優位性が求められる事業モデルに移行している。

 

それを成し遂げる具体的な方法論が、著者が推進した人事。

ものすごくドライに言うと、次の事業モデルに必要な人材を採用し、旧モデルで活躍した人が必要ないのであれば辞めてもらう、というもの。

 

どんな会社も、長い社歴を経る中で、社員のコンピテンシーが変わっていくことはよくあることだが、それを自らの成長意志で成し遂げようとしたところに、ネットフリックスの凄さはある。

何を目指すのか、目指すためにはどんな人材の集団(=組織)であるべきか、その人材をいかに集めてくるか。

 

「組織は戦略に従う」というのはよく言われることで、まさにそのとおりであるのだが、どこかしら戦略が上位、組織(人事)は下位という論理構造のように感じてしまうのだけれども、本書を読むと「組織は戦略そのもの」という印象が強く残る。

なかなか真似できない話ではないと思うし、そもそも成長カーブを高めに持たなければ、このようなドラスティックな人事を行う必要は無いわけで(成長のために新しい組織を作っているので)、全ての企業に当てはまる話ではないかもしれない。

 

しかし、人事・組織というものの重要性がどこにあるのか、シリコンバレーでヘッドハンターのプレゼンスがなぜ大きいのか、という一端が理解できる本だと思う。

こうなると続けてリクルートに関する本を読みたくなってしまう。

 

まぁ、ご参考ということで。