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本書自体は随分昔から知っていて、いつか読もうと思っていた。
このタイミングで取り上げた深い理由はないのだが、創業物語を続けて読んでいる流れ、というところ。
もう20年以上も昔、ITバブル、第三次ベンチャーブームの折に急成長し、37億円の負債を抱えて破産したベンチャー企業の創業経営者による回顧録。
当時を知らない世代にはピンとこないかもしれないが、小生くらいの年代では充分記憶に残る世界。
紆余曲折や様々なドタバタを経て、ひとときの栄光を掴むも、あっという間に転落していく様は、心が痛む。
もちろん著者の板倉氏も猛省しているが、良くないところはあって、フェラーリだとか六本木の夜の店だとか、今時の経営者では流行らない「やらかし」も登場する。
そんなこんなの歴史を経て、様々な反省や成功事例の上に、今の長い長い「第四次ベンチャーブーム」は存在していると思う。
今の若く優秀な経営者が本書を読んだら、「さすがにこんな失敗はしないんじゃないか」と思うかもしれない。
でも、わかっておいて欲しい。
自分たちの周辺を、いかに優秀な戦士たちで固めたとしても、エコシステムの大半の環境を埋めるのは日和見サラリーマン集団なのだ。
彼らは、ほんの些細なきっかけで突然態度を変え、それが環境全体に波及することで、いとも簡単に自社を取り巻く環境を激変させる。
本書を読んで、その怖さを少しでも味わってもらいたい。
著者は本書以前に本を出したことはないそうだが、情景描写や心象風景など、一つの小説としてもなかなかに読ませるので、悲劇小説を読むつもりででもいいと思う。
未読の方は是非ご一読を。
まぁ、ご参考ということで。