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去年のビジネス書では、アートにまつわる本がブームだった。
本書のおかげである。
本書も、アートとビジネスに関連する書籍なのかなぁと思って手に取る。
ちょいと寝かせてしまったが、ランニングの本ばかり読んでいてもアレなので拝読。
内容はアートの本というよりは、ブランディングであった。
アートディレクターとして企業のブランディング支援を行う著者たちによる、ブランディングの解説本といってよかろう。
基本的な考え方や意義から、具体的な手法、細かな用語の解説まで、事例を引きながら進んでいく。
読みやすくボリュームもほどほどで良い。
しかし改めて思うに、ブランディングとは戦略そのものであるということ。
それはすなわち、戦略はしっかりと徹底されてはじめて意味を持つのであるから、ブランディングというのは自ずと一貫性を要求するということである。
この一貫性というのが、現場頼みの裏返しとして、日本企業が苦手なポイントだと思う。
そして、一貫性が保たれているということは、もしブランドが時代とそぐわなくなった場合、それは小手先の対処では済まなくて、戦略レベルでの(それこそ撤退も含めた)変更を余儀なくされるということで、これまた日本企業が苦手な「大きな意思決定」というやつではないかと思う。
まさに日本企業に不在である戦略は、ブランディングの不在をも意味している、ということかと。
一方で著者たちは、一貫性を求める営みであるからこそ、身軽な中小企業の戦略として適している、とも説いている。
また、世界中に情報が駆け巡る今の時代だからこそ、中小企業にも大きなチャンスがあるのだと。
そのかわり、世界のことをもっと知らなければ、とも指摘しているのだが。
まぁ、ご参考ということで。