人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「教育格差」 読了 ~圧倒的情熱と物量~

まずはリンク。

教育格差 (ちくま新書)

教育格差 (ちくま新書)

 

 

Kindleのデイリーセールで紹介され、評価も高かったため、購入した一冊。

子を持つ親として、教育の問題は大変気になるというのも購入の動機ではある。

 

本書は、教育格差がどのような背景で生まれ、再生産されていくのかを、統計的な観点から丁寧に解説していく本である。

結論を乱暴にまとめてしまうと、親の教育水準がそのまま子の教育水準に反映される、という事実である。

 

日本において教育格差は間違いなく存在するし、一方でそれはまた、極めて凡庸な格差でもある。

それらの事実を、膨大なデータを論証として展開していくのが、本書の構成の大部である。

 

それはもう、圧倒されるレベルと言って良い。

もちろんそんな現状に対しての提言も多くなされており、真剣に受け止めるべき内容と理解した。

 

後半の提言、そして後書きの著者の思い、情熱は、痛いほど心に迫ってくるものがある。

研究している人間が既に教育格差の上位レイヤーであり、本書を読む読者もまた上位レイヤーで、研究を進めれば進めるほど格差拡大に与する矛盾。

 

それでもなお前に進む情熱と、その論理を支える圧倒的なエビデンス

かつての社会学系領域では、これだけのデータを揃えられなかったので、エビデンスの量だけで隔世の感があるのだが、そこになお熱い志で提言を行う著者の情熱に、頭が下がる一冊であった。

 

まぁ、ご参考ということで。