人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「確率思考の戦略論」 再読 〜森岡作品コンプリート③〜

リンクを貼っておく。

 

 本書を最初に読んだのは2年前の4月。

森岡作品コンプリートということで、再読した次第。

 

2016年頃に発表された森岡氏の書籍、記事の中で、理論編の集大成という一冊である。

マーケティングや戦略のロジックは、おそらく古巣のP&G社のそれがベースだろう(共著の今西氏も同社OB)が、それを数学のロジックで展開していくのが森岡流。

 

まとめると、戦略とは、プレファレンス、認知、配荷の3点を向上させるために、どのように資源配分するか、である。

プレファレンスとは、ユーザーにとっての当該ブランドの相対的好意度と言って良い。

 

そしてプレファレンスは、ブランドエクイティ、スペック、価格に支配されてているので、それぞれをどのように顧客向けにアジャストしていくか、という議論が、P&G、USJといった企業での事例を引き合いに、数学的に解説されていく。

初見の際は、このロジカルな構造の美しさに溜息を漏らしたものだが、再読してもやはり印象は変わらない(数学だからロジカルなのは当たり前なんだけれどね)。

 

本書は、流石マーケターの森岡氏が書いただけあって、我々文系ビジネスパーソンにも配慮された二部構成で、複雑な数式は全て二部に寄せてあり、読み進めるのに支障は無い。

生々しい事例をふむふむと読みながら、「あの会社におけるプレファレンスは?」「こっちの会社のブランドエクイティは?」なんて、色々考えを巡らせるのも楽しいではないか。

 

森岡氏の他の著作は、もう少し一般的なフレームワークで語られることが多いので、特にディープな考え方を見てみたい人にオススメである。

どうしても、消費財っぽい考え方だな、とは思うけれどもね。

 

まぁ、ご参考ということで。