まずはリンク。
先日再読した、「確率思考の戦略論」に引用されていたこともあり、拝読した次第。
著者は長銀の元取締役。
著者のバックグラウンドから導き出された、経済的な法則や文化論、マーケティング的なアイデアなどが幅広く語られる。
本書自体は、ビジネスにも役立つエッセーといったところだろう。
何らかの研究成果とまではいかないが、アカデミックな匂いがするインサイトを期待するのはお門違い。
小生も、森岡氏の本で引用されるくらいなので、どれほどのものかと期待をしてしまったところはある。
既知の情報や著者の個人的な見解などが「ないまぜ」になっていて、軽く読むには十分興味をそそられるのだが。
個人的になるほどと思ったのは、「文化が先、産業化が後」というような説明をする下りで、文化的な憧れがあって需要が喚起され、十分な需要が見込めるからこそ産業化が進む、という説明は、確かにそうかも、と思わされるところがある。
だから日本は文化産業に進む方が良い、というようなトーンが全体にあるのだが、そこはやっぱり2000年代初頭の書籍。
今の時代から睥睨すると、「うーん、当時はまだその辺に希望は残っていたよね。今からその可能性って残ってるのかなぁ…」と感じるのが正直なところ。
ちょっと、小学校の卒業文集を読み返すような気恥しさを感じてしまう(苦笑)。
長期の視点で物を考えてみる、という意味では、良い刺激を与えてくれると思うので、10年・20年の計で何かの企画を打ち立てていく必要がある人が、新たな視点を得るために読むのが良いのではないだろうか。
まぁ、ご参考ということで。