人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

転職エージェントも含めたマッチングビジネスと、自分のキャリアを何処まで第三者に預けるか、という話 その4

「マッチングビジネス」を成立させる要件として、あまり論点にならないが、個人的に重要ではないかと思っているのが、「購買決定要因が曖昧である」ということではないだろうか。

「何を」「いくらで」買いたい、もしくは、「何を」「いくらで」「誰に」売りたいというのがクリアであれば、間に誰かが入る余地は少ない。

 

だって、その相手を探してきて話をすればいいだけなのだから。

介在者が存在する例として、不動産を引き合いに出したが、殆どの人が、不動産を買い慣れているわけではないので、実は「何を」「いくらで」は、曖昧なのである。

 

そこを、介在者が具体的な物件を引き合いに出しながら、購買決定要因を明確にしていくことが求められる。

なぜなら、一見、購買決定要因がクリアなようでも、魅力的な商品が提示されれば、一気に気持ちが傾くのが人間というもの。

 

なので、何となくの嗜好ではなく、絶対に動かない購買決定要因が有るのか無いのか、そこを明確にしなければ取引は成立しないし、「マッチングビジネス」の成立要件の重要なポイントだと思うのだ。

さて、「マッチングビジネス」を成立させる要件のまとめだ。

 

①「取引のインパクト」が大きいこと

失敗しても良いのであれば、わざわざ関係者を増やす必要はない。

 

②「情報収集のコスト」が大きいこと

深い情報を簡単には得られない時、介在者が存在する意義がある。

 

③購買決定要因が曖昧であること

真の購買決定要因は何か、そこが見えているようで実は曖昧なのであれば、誰かが調整しなければ、取引は進まない。

 

どうだろう、少なくとも転職エージェントが存在する余地は、領域に応じてありそうだし、何を相談すべきかも見えてきたのでは無いだろうか。

続きます。

転職エージェントも含めたマッチングビジネスと、自分のキャリアを何処まで第三者に預けるか、という話 その3

もう一つ、「マッチングビジネスとビジネス」が成立する要件として、情報収集のコスト、というのがあると思う。

目の前のものを取り敢えず買っても、そう大きな問題にならないのであれば、深く検討はしないが、「取引のインパクト」が大きい場合、出来る限り意思決定のために比較検討をするための情報を収集したい。

 

その際、売り手と買い手がそれぞれ単独で情報収集するより、「広く」「深く」「手間なく」取得することができれば(単独で情報収集するとコストがかさむのであれば)、介在者が存在する意義がある。

ここはエージェントビジネスの存在意義にも関わると思うのだが、「広く」だけであれば、インターネットでどうとでも取得出来る。

 

大事なのは、「深く」と「手間なく」だ。

「手間なく」は、本人が求めている情報を複雑な手順なしに、と考えるなら、いずれ人工知能などのテクノロジーで可能になる話かもしれない。

 

「深く」というのは、インサイドの情報という意味もあるし、検索軸で切りにくい感性領域の情報が大事な場合は、様々な角度での情報収集をしなければならないため、介在者が活躍する余地がある。

まだまだ続きます。

転職エージェントも含めたマッチングビジネスと、自分のキャリアを何処まで第三者に預けるか、という話 その2

さて、「マッチングビジネス」が成立する要件である。

先ず話の整理として、介在者が存在しない取引を認識した上で、介在者が存在できる要件を探りたい。

 

田舎道を歩いていて、畑に美味しそうなキャベツが出荷を待っているのを目にした。

そこにいた生産者に話をしたら、百円で良いと言われたので、その場で買うことにした。

 

これが、介在者が存在しない、直接取引のビジネスである。

そして、介在者が存在するビジネスとして、不動産取引を考えてみる。

 

結婚することになったので、手の届く金額の中古マンションが良いかなと思って、近所の不動産屋に入った。

不動産屋にあれこれ物件を見せてもらい、ある物件を買うことに決めた。

 

表記を揃えると、こんな感じだろう。

ここで、介在者が存在しないビジネスの特徴としてありそうなのが、

・金額が大きくない

・取引の意思決定のプロセスが単純

・(「プロセスが単純」ということの背景でもあるが)取引に失敗した時の損失が限定的

というのが考えられる。

 

一つの表現にまとめてしまうと、「取引のインパクト」が大きいかどうか、とも言えると思う。

インパクトというのは、コストだったりリスクだったりが、当事者にとって大きいということだ。

 

つまり、「マッチングビジネス」が成立するする要件というのは「取引のインパクト」が大きい場合に成立する、ということが言えると思う。

続きます。

 

転職エージェントも含めたマッチングビジネスと、自分のキャリアを何処まで第三者に預けるか、という話 その1

世の中には「マッチングビジネス」という表現をされるビジネスモデルが存在する。

売り手と買い手を媒介者が繋ぎ、売り手と買い手は取引を成立させる機会を得、媒介者はその取引に関わる手数料を得る。

 

不動産仲介や、証券市場なんかが代表的だし、最近だとオンライン広告の世界でも市場は存在する。

これらは、取り引きが成立した際の口銭として媒介者が収入を得るモデルだが、「マッチングビジネス」と日本で語られる場合の定義はもう少し広いと思う。

 

売り手と買い手をつなぐという意味では、広告掲載費として回収する、リクルートが得意とするメディアビジネスも入ってくるし、転職の斡旋を行う人材エージェント(紹介業)も入ってくる。

さて、こうした「マッチングビジネス」が成立する要件というのを考えたことがおありだろうか?

 

ちゃんと研究されて居る人はいらっしゃると思うが、備忘録的に小生の見解を整理しておきたい。

人材エージェントにとっては、自社の介在価値や未来を見据える一助になるかもしれないし、転職を考える方にとっては、エージェントとの付き合い方の参考になるかもしれないし、新規事業を考える人にとっては、新しいアイデアをブラッシュアップするきっかけにしていただければ、と考えた次第である。

 

どのくらいのボリュームかは謎だが(炬燵ブログゆえご容赦を)、取り敢えず書いて行きたい。

明日に続きます。

 

「テーブルの向かい側への転職」

「テーブルの向かい側への転職」というのは、小生の造語である。

仕事の場面で、テーブルを挟んで向かい合う相手側への転職という意味だ。

 

人材エージェントが人事になるとか、広告代理店の人がクライアントのマーケティング職になるとか、戦略コンサルタントが経営者を目指すとか。

その逆も然り。

 

転職希望としては良くあるのだが、結構難易度は高い。

当たり前だが、毎日接して相手のことがよくわかっていても、それは業務の一部分でしかない。

 

「テーブルの向かい側」というのは例えだが、文字通り向いている方向も違う。

間に何かがあるというのも、手が届くようで届かない距離になる。

 

接客業だって、毎日接する顧客の気持ちが見えているかといえば、決してそんなことはない。

寧ろ、意外なほどわかっていないというのが実態だろう。

 

そのギャップを補うためには、採用の需要がきっちりあることを前提に、初めて接する業界や経験を積みに行くくらいの、謙虚さと努力が必要なのだと思う。

いや、テーブルの向かい側の相手をリードするだけの知見(コンサルタント系なら他社事例やノウハウ)、意欲があってはじめて、実現するのではないだろうか。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

 

 

 

 

全体から細部へ

物事を説明する時に、基本的なパターンというのがある。

一つの考え方としては、表題の「全体から細部へ」と、「細部から全体へ」というパターン。

 

細部から全体へ展開した方が、ストーリーとしては面白いんじゃないかと個人的には思っている。

ちょっとしたきっかけが、大きな事件に、というのは、映画なんかでもよくあるし。

 

しかし、ビジネスの場面では、面白いけど、どう着地するか見えないストーリーは、リスクが高い。

説明する相手が顧客でも上司でも、基本的に結論を急ぐ人達なので、飽きさせずに最後まで引っ張るには、それだけのスキルが必要だからだ。

 

なので、全体から細部へ、というのが、ビジネスとしては基本になるだろう。

先ず全体像となる結論を示し、ディテールとプロセスを示し、再度結論に至る。

 

非常にオーソドックスだが、効果的であることは間違いない。

とはいえ、細部から全体へ、というのも、「当たれば大きい」ので、是非チャレンジしたいところではあるけれど。

 

まぁ、ご参考ということで。