まずはリンク。
未来型国家エストニアの挑戦【新版】 電子政府がひらく世界 (NextPublishing)
- 作者: ラウルアリキヴィ,前田陽二
- 出版社/メーカー: インプレスR&D
- 発売日: 2017/03/31
- メディア: オンデマンド (ペーパーバック)
- この商品を含むブログを見る
イノベーション界隈では、国全体でICT化を加速化させているエストニアの事例は有名。
その視察に訪れる日本企業がイケてないという話まである。
まぁ、シリコンバレー視察でもよく言われている話なので、既視感はあるのだが。
それはともかく、同国の取り組みが如何なるもので、ひとりの日本人として何かヒントになるものはないかと思い、拝読した次第。
エストニアで行政に関わったことがあるエストニア人と、日本人による共著。
序章にエストニアの概略や成り立ちがあり、制度や行政を中心とするサービスの具体的な紹介が続き、日本への提言という形で締められている。
旧ソ連から30年弱前に独立し、大国に地続きで挟まれながら歩み出した人口100万の国家となると、なるほど日本とはだいぶ状況は違う。
国として独立を維持しつつ、いかに成長軌道に乗せていくか、その必至の取り組みの結果としての電子政府など、ということのようだ。
どうもシンガポールをベンチマークしたようであるが、高付加価値産業で存立を図り、そのためのツールがシンガポールは貿易と金融、エストニアはICTだったと理解できるので、シンガポールを引き合いに出されるとアジア人としては腹落ちしやすい。
中盤で紹介される彼の国の事例は、なるほど凄いねと思わされるものの、意外と慎重に設計されてるのね、というような話もあり、実は遥か遠い先をいっているわけではないんじゃないか、と思わされるところもある。
日本でもマイナンバーが導入され、まだ道半ばではあるが…。
本書でも主張されるが、この事例を「だいぶ状況が違う」異国の事例として受け流し、変化しない言い訳を述べるのではく、いかに真剣に受け止めるか、だと思う(当たり前だけれど)。
日本だって人口減少は消滅の危機と言って良いくらいだし、資源もないし、地方では過疎が進むし、もはや待った無し。
本書タイトル通り、今や未来国家と言われる国だって「挑戦」しているのである。
いわんやまさに衰退を迎えている国をや、である。
まぁ、ご参考ということで。