人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「イノベーションの作法」 読了 ~やり方はわかった。あとはどうする?~

まずはリンク。

SHIFT:イノベーションの作法

SHIFT:イノベーションの作法

 

 

小生は筆者のファンである。

ネットへの寄稿やインタビューは、ほぼカバーしているし、ハーバードビジネスレビューへの寄稿をムック化した唯一の著作も持っており、当然本書も買うのである。

 

本書は、ハーバードビジネスレビューに寄稿した著者の連載をまとめたもので、小生が以前購入したムックも、巻末付録的に付いている。

小生はそれだけのファンなので、本書で新たな気付き、学びがあったかというと、それはないのだけれど、明快なチャートとともに一冊にまとまっている意義は大きい。

 

ご存知ない方のために、著者の理論の魅力を述べておくと、イノベーションに対する明確で具体的な方法論を語っていることである。

過去の武勇伝から導き出される経験知ではなく、再現可能と感じられる形式知にまで昇華させているところが凄いと思う。

 

イノベーションの定義を、「見たことも聞いたこともないもの」「実現可能なもの」「議論を呼ぶもの」と置き、偶然に頼らずそのアイデアを生み出す方法論を示す。

もちろんアイデア創出だけではなく、社内の通し方、リサーチの仕方など、幅広いメソッドを提示してくれている。

 

この手の本は好き嫌いがあるのかもしれないが、イノベーションに関わりのある仕事をしている人は、一度読んで損はないと思う。

つくづく思うのだが、今の日本では、こういった優れた方法論、ノウハウについては、十分行き渡っているのではないか。

 

古い本も読むのだけれど、良書も多数あり、風化したわけでもないから、最近になって知識レベルが高まったともいえまい。

そうなると、仮に日本でイノベーションが起きていないのだとすれば、それは方法論が理由ではないということになるだろう。

 

小生に仮説はある。

新しいものが生まれるというのは、世代交代である。

 

世代交代には旧世代の「死」がつきものだが、日本はまだまだ旧世代が「死んで」ない。

大企業の皆さんの危機感は強いけれど、ベンチャーや中小企業で明日の糧を求めて駆けずり回った経験からすれば、全然余裕。

 

3期連続営業赤字とかにでもならないと動き出さないんじゃないの、と思ってみたり、でも個人的な経験を振り返ると「危機的な会社ほど危機感がない(by富山和彦)」だったりするしなぁと思ってみたり。

そうなると、日本でイノベーションが起きるのは、残念ながらもう少し先のことになるだろうし、危機感が生まれないままフェードアウトしていく会社も沢山出ることだろう。

 

クワバラクワバラ。

まぁ、ご参考ということで。