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何かのメディアで著者のことを知り、興味を持って購入。
白川氏は国境なき医師団で活躍する看護師。
その白川氏が、世界の紛争の現場で何を経験し、何を思ったのか、またそこへ至るまでの道のりがどんなものだったのか、等身大の姿で綴られている。
平和な日本で暮らす中年会社員にはあまりに衝撃的な紛争地の実態が、冒頭から展開される。
そもそも戦場は非人道的なものであるが、国境なき医師団が戦うのは、その中でも最も非人道的な場所。
非戦闘員である女性や子供たちが担ぎ込まれる救急医療現場である。
あまりに悲惨で目を背けたくなる。
みんなこの実態をわかっていて戦争をしているのか、これだけの犠牲を払ってでも守るべき価値は確かなものなのか、とことん問うてみたいと思う。
そんな現場で、時に心が折れそうになりながらも努力を続ける、白川氏をはじめとするスタッフの皆さんには、心から敬意を表したいのだが、人間のひどい面と素晴らしい面の両極端に同居している戦場の実態は、なんともやるせない。
世界ではこんなことが起きているのだ、という事は、近いうちに娘にも語って聞かせなければ、と思ったり。
そんな重いテーマの中で、等身大の白川氏のありようが、本書に深みを与えていると思う。
紆余曲折を経て医師団のスタッフになったこと、医療では戦争を終わらせられないと感じてジャーナリストへの転身を考えたこと、それでも現場に立ち続けたこと。
そんな悩みを抱えながら現場に立っているからこそ伝えられるリアリティ、問題の根深さ、過酷さが、本書からは伝わってくる。
多くの人に本書を読んでもらい、世界の今を理解し、問題解決のきっかけに繋がることを、心から願う。
まぁ、ご参考ということで。