人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

コーポレートガバナンスと新規事業

新規事業のお手伝いをする中で、上場会社とのお付き合いはボチボチある。

皆さん、一般的な企業に比べてガバナンスが効いた組織なのだが、コーポレートガバナンスが目指す姿と、新規事業開発ってバッティングしないのかなぁと、今更ながら、ふと疑問に思ったのである。

 

コーポレートガバナンスというのは、そもそも領域と解釈はかなり奥が深そうである。

ja.m.wikipedia.org

 

2000年代から日本で言われるようになったのは、資本市場から見たときに牽制が効いているのか、ということだったかと思う。

上記リンクの「企業効率問題」というやつだ。

 

資本市場から見たときに、変なお金の使い方をしていないのか、端的に言えば、株価が下がる意思決定をしていないのか、ということだ。

さて、こう書いてしまうと、新規事業へチャレンジするという意思決定は、なかなかハードルが高そうである。

 

実際に、極めて収益性の高い本業をお持ちの、上場会社役員とディスカッションしたことがあるのだが、上場会社としての建てつけ上、既存事業より高い収益性、成長性が見込めないと、新規事業の意思決定はし難いというお話であった。

「そら無理でっせ」というのが率直な印象ではあったが、理屈はごもっともなので、それ以上のディスカッションは差し控えさせていただいた。

 

もちろん、収益性の見通しを短期で考えるのか、長期で考えるのか、というスコープの違いを活用して、新規事業実施のロジックを組み立てる方法はある。

R&Dの考え方を援用し、新規事業への意思決定を行うこともできるだろう。

 

会社によっては、明らかに本業の衰退が見えているから、なんでもやってみよう、という形で、理解を得られやすい状況もあるかもしれない。

これらに共通することは、新規事業を既存事業と比較する際に、「同じ土俵」で議論していないということだ。

 

異なる時間軸、異なる蓋然性、異なる成長性で議論しているから、意思決定しうる。

誰もがご承知の通り、新規事業というのは不確実性の塊であり、究極的には「やってみないとわからない」ものだ。

 

ガバナンスの効いた組織の中で、「やってみよう」という意思決定を導き出すためには、このような異なる視点を用いなければ、前に進めようとはなり難い。

言い換えれば、ふつうのロジックで稟議決裁をまわしたらハネられる、ということだ。

 

ガバナンスを否定したいわけではないけれど、それを超える仕掛け、仕組みを持って、新規事業の推進を図りたいもの。

まぁ、ご参考ということで。