小生の普段の業務は、ボトムアップでの新規事業提案の伴走が主だったものである。
ボトムアップでの新規事業提案は、決裁者に対して何らかの意思決定を迫るものになるのだが、「やる/やらない」をはっきりさせるものもあれば、事業実施手前のフィジビリティスタディを諮ることもある。
現実的には、「やる/やらない」だと「重たい」ので、関係各位がフィジビリティスタディに流れがちになる。
「関係各位」としたのは、起案者側も、決裁者側も、間に入る事務局側も、妥協案的に流れがちになるということである。
しかし、フィジビリティスタディで何を検証するのか、という設計は、実はかなり高度だ。
少なくとも「やる/やらない」の意思決定が出来ない故の「先送り策」「妥協案」として実施するものではない。
フィジビリティスタディで何を検証するのか?
何をKPIと置くのか?
フィジビリティスタディの期間をどれくらいに設定するのか?
一定のKPIを達成した時に、事業実施する意思決定につなげられるのか?
特に最後の、「事業実施する意思決定につなげられるのか?」が難易度が高く、これが設定できるということは、「やる/やらない」の判断基準が設定できている、ということと同義でもあるので、「先送り策」「妥協案」としてのフィジビリティスタディでは見えてこない。
この辺りを曖昧にしたまま、妥協案的にフィジビリティスタディに入ってしまうと、とにかく継続検討はしているけれど、前に進んでいるのか後ろに下がっているかもよくわからず、関係各位の介入や思惑が蠢き、ひたすら消耗していく。
そうなると極論、「新規事業なんてやるだけ損」みたいな結論になりかねず、組織のイノベーションを後退させてしまう。
もし、皆さんの仕事の場面で「フィジビリティスタディ」という言葉が囁かれ出したとしたら、フィジビリティスタディで何を検証するのか、どうなれば事業実施となるのか、真剣に設計してみてほしい。
フィジビリティスタディの設計は、一つの事業案の生死を分かつだけでなく、所属する組織のイノベーションにとっても大きな意味があるのだから。
まぁ、ご参考ということで。