人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「オーナーのアイデアを形にしてくれる人材」のウソ

オーナー企業、まあベンチャー企業でもいいんだけど、その幹部人材採用ポジションで、鉄板で登場するのが「オーナーのアイデアを形にしてくれる人材」というもの。

続いてくる話が、「オーナーはアイデアマンで沢山の構想があるんだけど、それを実現する人材が居ない(だから採用したい)」と来る。

 

いったい何回この話を聞いたことだろう。

エージェントとして色々なオーナー企業と向き合ってきたし、自分も社会人として色々経験し、また新規事業開発の仕事で「沢山の構想」に触れてわかってきたことがある。

 

「オーナーはアイデアマンで沢山の構想があるんだけど、それを実現する人材が居ない」というのは、大抵ウソだと思う。

新規事業開発なんかをやっていて本当に思うのだが、アイデアは所詮アイデアでしかなく、そこにはあんまり価値はない。

 

むしろ、それを具体化するところに難しさと本質がある。

多分オーナーは、アイデアを思いつくのだが、それを具体化する方法論が分からず、メンバーに指示も出来ないので前に進まない、というのが実態で、別に人材が居ないわけじゃないのだと思う。

 

要は、思いつきレベルを、要件定義してディレクションまでしてくれる、「都合のいい人材が居ない」ということだ。

そんな人は世の中にあんまり居ないし、居たとしても、「なんでその会社に行かなきゃいけないの」となるので、大抵はベーススキルが高い人がそのポジションに収まり、オーナーの意向に振り回されながら、サバイブできるところまでサバイブすることになる。

 

オーナーは思いついただけだから、具体化に踏み込んでからの苦労を知らない。

下手をすると、具体化に苦労する幹部と、「なんでうまく行かないんだ!」と怒るオーナーという組み合わせが完成し、オーナーは「どいつもこいつも物足りない」となる。

 

みんながみんなそんなオーナーではもちろんないが、わざわざ外から人を入れなくても、現有リソースで形にするディレクションをするのが「具体化」なので、そういう案件に遭遇した時は、冷静に話を聞いた方がいいと思いますよ、というお話。

まぁ、ご参考ということで。