人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

新規事業も、「縁」?

新規事業構築のご相談で、よくあるお話の一つが、「ターゲットを絞らなければいけないのはわかっているのだが、どう絞っていったら良いのかわからない!」というもの。

経営の意思として、どのターゲット・市場を攻めるというのがはっきりしていれば悩まないのだが、ターゲットの選定から考えて欲しい、或いは自由にアイデアを募りたい、という新規事業構築の場合、起案者は大変困るものである。

 

セオリーはもちろん、市場規模や成長性というのがオーソドックスだけれど、市場が顕在化していなかったり、リプレイスするターゲットが見えていないと、なかなか確からしさが出てこない。

また、意外と意識されていないのだが、事業案をより確かなものにしていく際に、そのロジックの「正しさ」と共に、社内説得のための「説得力」を高めなければ、起案は通らない。

 

さて、その「説得力(あえてカッコ書きにしているのは、ロジックの正しさ以外の要素に言及したいがためである)」であるが、これは起案者の熱意と案件のリアリティに依存すると思う。

さらに言えば、その熱意も、リアリティの裏付けがなければ、なかなか高まっていかないことが多いので、結局はリアリティが重要になっていく。

 

新規事業におけるリアリティとは、端的に言って顧客ニーズのリアリティだと思うのだが、この顧客ニーズのリアリティは、顧客にどれだけ接近したか、という点でしか確かめられない。

リクルートグループでは、「n=1の深いインサイト」という言葉があるのだが、同じことを言っているのだと思う。

 

マーケットリサーチでは得られない、手触りのある、リアルなインサイトというのは、結局は直接インタビューするしかない。

インタビューを重ねることで、リアルなニーズを掴み、「この顧客、このニーズに一番詳しいのは自分であり、何としてでもニーズを満たしてあげたい」という形で熱意が高まっていく。

 

と、いうことは、「どのターゲットを攻めるのか」という冒頭の問いの答えは、顧客インタビューなどを通じた、リアルな「縁」の中にしかないのではなかろうか?

もちろん、戦略的な話からすれば、全然おかしいアプローチなのかもしれないが、戦略やリサーチから入った場合、インタビューの「取っ掛かり」すらない分野が選ばれることもあり、インタビューに至るまでに結構な時間とコストがかかってしまうのである。

 

で、リーチ出来たとしても、新規事業の不確実性は変わらないので、コスト倒れや時間切れになってしまう、ということもありうる。

どうだろう、ちょっと奇抜な話かもしれないが、ターゲットの選定も、「縁」や「出会い」を切り口にしてみてはどうだろうか?

 

まぁ、ご参考ということで。