人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

定性的な価値は語るものではなく、語らせるもの

小生がクライアントとお話をしていて、良くご納得いただく話がこれ。
新規事業において、売上利益だけではなく、数値化しにくいベネフィットがある時に、それをプレゼンテーションでどう伝えるか、という議論である。

ビジネスシーンでは、どうしても定量化できる価値が最優先されるので、如何に定性的な価値が素晴らしくても、総論OK、各論NGとなって、気がついたら話がストップしてしまうことがよくある。
そんな中で、起案者側が一生懸命定性的な価値を語っても、「まぁ、言わんとすることはわかるんだけどさー」という風になりがちだし、悪くすると、綺麗事をしつこく語る「ズレた奴」という心象を形成しかねない。

なので、あくまでも定量的な価値を論理的に訴求し、その先のビジョンを明示することで、聞いている側に、「なるほど、でももしそれが実現できたら、あんなことも出来るかもしれないし、こんなことも出来るかもしれないね」と気付かせ、発言させるのだ。
そうなると、聞いている側に定性的な価値も伝わるし、何より自分で気づいた要素というのは、強力に頭に残る。

何だそれ、と思われるかもしれないが、例えばこういう事だ。
ある営業マンが、転職活動で自己アピールをしているとする。

「わたくしはお客様と信頼関係を構築するのが得意で、いつもお客様から高い評価を受けていました。なので御社でもきっとご期待に添えると思います」という事を伝えたい。
そういう時に、ただその事を一生懸命語るのと、「既存顧客の契約継続率は98%、契約更新時は前年対比110%がアベレージでした。なのでお客様と信頼関係を構築するのは得意ではないかと思います」どちらが説得力があるか、という話だ。

継続率や前年対比が、例え今の会社で普通の数字だったとしても、定量的なアピールは伝わりやすいし、「思います」で締めることで、定性的な価値を感じるかどうかを、聞き手に委ねている。
もっと良い例があるかと思うが、例えばそんなような話である。

まぁ、ご参考ということで。