人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

ワークライフバランス、特に家族との関係について思うこと

これまで、色々な方の転職相談に乗ってきたわけだが、仕事と家族、特に配偶者との関係性を巡って、忘れられない印象の方がいた。
その方は50代中盤で、超大手企業一社で長くハードに働かれていた方。

ご要望としては、「自分はこれまでずっと仕事人間で生きてきていて、妻のことは顧みず、散々迷惑をかけてきた。まだ元気なあと5年は目一杯働いて、その後は思い切り妻を労わりたい」ので何かやり甲斐のある仕事を、というお話。
無礼を承知で、小生がお伝えしたのは、「そのキャリアプランと老後プラン、奥様はご納得されているんですか?」というようなこと。

おっしゃった通り、二十数年家庭を顧みなかったのであれば、奥様はとっくに自分の世界を確立されていて、今更労られても鬱陶しいだけなのではないかと思ったのだ。
そして、奥様を労わりたいと考えているのであれば、今日家に帰った瞬間から労わるべきでしょう、ということ。

なぜ最も身近な人間のケアを、5年も先送りするのか、全くもって謎であった。
なぜそんなことを言うかというと、高齢化が進む中で、引退後に家族と過ごす時間はどんどん増えているから。

現役時代仕事に従事するのが、年間2000時間×40年=80000時間だとすれば、もし引退後20年家族と過ごすとしたら、仮に1日10時間×365日×20年=73000時間で、ほぼ仕事に従事した時間と変わり無い時間を、共に過ごすことになる。
そんなにも長く過ごす相手と、二十数年ノーケアで、或る日突然ベタベタすることなど、不可能なはずだし、家族との関係性は、現役時代の関わりも併せて言えば、仕事よりずっと長くて深い、ということになる。

さらに言えば、営業活動がまさにそうであるが、「メンテナンス無しに維持できる人間関係は無い」というのが小生の信条である。
生涯を通じて、仕事より深い関わりの家族との関係を、何のメンテナンスも無しに、維持し続けることなど不可能だと思うし、出来るというならそれは大いなる「甘え」だと思う。

さてさて、果たしてあなたは仕事より家族を優先することが出来ているだろうか?
色々な意見はあると思うが、小生はそのような優先順位で考えている。

まぁ、ご参考ということで。