未経験の方々が、人材紹介事業を立ち上げようとするときに、意外にご存知ないのが、「決定率の低さ」だ。
ユーザーとしての経験があり、なんとなく人の紹介を受け、フィーを払うと、ずいぶん儲かりそうな商売のように思えるらしい。
しかし、人材紹介事業では、一人決定する裏側に、その何倍もの決められない人材、決められない求人案件が存在する。
ユーザー目線だと、決まった一件しか目に見えないのだが、小さな組織で動いている「ブティック型」と言われるエージェントで、決定率は5%〜15%の間くらいだと思う(15%は滅多にないかもしれない)。
もし5%だとすると、転職相談にのった20人に一人、発注いただいた20件に一件の求人案件しか決められないのだ。
結構大変そうでしょ?というのもあるのだが、実は興味深い話があって、転職希望者の決定率は、その転職希望者とエージェントとの接点によって異なることが経験上わかっている。
直接の知人・友人→紹介を受けた方→所属している紹介会社に登録された方→「リクナビ」などの転職メディアからエージェントがスカウトした方、の順に、決定率が下がっていくのだ。
さて、それはどうしてなのか?
スカウトした方なら、ある案件にフィットした人を選んでいる筈だから、決定率は高くても良さそうなのに、友人の方が高いのは何故なのか?
友人がエージェントで、転職の相談をしたとして、例え友人だったとしても、その一人にだけキャリア相談をし、自分の職業人生を完全に預けるということは、常識的に考えにくい。
なので、友人のエージェントに相談をした人でも、友人以外の複数のエージェントにも、相談をしている筈だ。
直感的に理解される方は居ると思うが、これはどれだけ本音の話をしているか、ということが決定率に影響があるということだと、小生としては考えている。
まだまだ転職自体がネガティブだったり、人間関係の悩みがベースにあったり、という転職の本音の中で、転職希望者が関係性の薄いエージェントに、正直な胸の内を晒すことは、まず無い。
そうなると、エージェントからすると、微妙に話の芯が弱かったり、地味に言っていることと本音がズレていたり、他の案件との優先順位なんかをはぐらかされたり、という風になる。
そしてそのコミュニケーションは、担当している求人企業にも持ち越され、かくしてお互いの気持ちがずれたまま、「決まらない」という展開になっていく。
そして、そんな「決まらない」という状況は、転職希望者の方にとっても、決して望ましい状態とは言えない。
さて、何を申し上げたかったか、お解りいただけただろうか?
見ず知らずのエージェントに、いきなり本音を晒せというのは無茶だと思うが、上手にコミュニケーションを取らないと、お互いにとってデメリットにしかならないよ、ということだ。
ちょっと説教くさい話で恐縮だが、その辺が上手な方は、まだまだ少ないように思うので。
まぁ、ご参考ということで。