人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

書けないスキル

先週、小生が卒業した銀行の先輩と食事をしていた時の話。
先輩は10年銀行に勤務して、いろいろあって今の会社に一年前から勤務している。

その会社は、ある程度時価総額もある一部上場企業で、先輩はそこで経営企画のマネージャーの任にある。
そんな中でのエピソード。

入社三日目、いきなり全社総会(まぁ社内イベントではあるが)の司会をやれとのお達し。
前年の内容も、社員の名前もわからないのに、「何か気の利いた事やれ」くらいの要求。

入社翌月、IR用の原稿を作成し、社長に提出。
社長からは、ある箇所にアンダーラインを引いて、ただ一文字「?」とだけで帰ってくる。

先輩は大変ながら司会を無事にこなし、IR原稿も「?」に対する修正をして、開示されたそうな。
そんなエピソードを通じて、先輩後輩間で共有・共感されたのは、そういう理不尽な(?)要請とか、フワフワした曖昧な要求なんかに、相手が考えていることを忖度&関係者の意向を斟酌し、合格ラインの答えをキッチリ出す、というのは銀行で培われたんだよなぁ、と。

ある意味、銀行というのは理不尽な職場だったりしたので、その中でサバイブする能力というのは、上記のようなスキルだったりする。
ご一緒したもう一人の先輩は、銀行OBではなかったのだが、そのエピソードを聞いて、「銀行員って、なんて便利なんだ!」と言っていただいた。

こっちとしては、「いや、フツーですよ」という感じなのだが。
世の中には、こういう、「書けない(名前のつかない)スキル」っていうのが必ずあって、それをどんな風に自己認識し、どんな相手に、どうアピールしていくのか、小生も発展途上なのだが、ビジネスパーソンとしてとても大事な要素だと思う。

もちろん銀行員がみんなこんな事をしてきたわけではないように、一人一人の出来る・出来ないを見極めたり、そして未知の「書けないスキル」を導き出してあげる姿勢というのは、人として今後もずっと大事にしていきたいと思ったり。
出来る限り、人のポジティブな面を見出していきたいもんです。

まぁ、ご参考ということで。