人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

転職180日プラン

企業投資、企業再生の世界では、「100日プラン」という概念がある。

投資実行のその日をDay1として100日間で、現状把握→課題の洗い出し→優先順位付けと対策構築→対策チーム組成→キックオフ、までを行うのである。

 

もちろん凄く大変なのだが、これを最初にやっておかないと、改革のチャンスを失うのだ。

資本が変わって、全社が戦々恐々としているタイミングで着手しないと、後で手を付けても「なんで今更(これまで通りで良いではないか)」となり、現場が動かなくなってしまう。

 

最初の100日でやりきってしまうのは、ファンドなんかの場合はもう一つあって、それは時間が限られているからだ。

投資パフォーマンスは、同じ価格で買って売るなら、投資期間(=再生期間)が短い程高い計算になる。

 

また、ファンドの場合、投資から3〜5年でまた売却するのだけれど、膿を出し切って新しいビジネスに再構築し、再上昇トレンドが見えるところまで仕立てて売却に入るから、どんなに短くても改革に2年は必要で(最短でもそれくらいだろう)、圧倒的に時間が足りないのである。

さらに、売却プロセスそのものに1年くらい掛かることもあったりするので、急ぐのは尚更である。

 

さて、基本的には転職者は、特に幹部(と期待されている人も含む)の転職は、上記と同じ状況だと、小生は考える。

組織の穴埋め的な採用でもない限り、基本的に転職者は、その会社の課題を解決する為に入社することになる。

 

事前のすり合わせが選考プロセスだと思うのだが、入社してみなければわからないことも、もちろんある。

入社日をDay1として、企業再生と同じプロセスになるのだ。

 

ちょっとだけ違うのが、転職の場合は、100日ではなくて180日、つまり半年くらいが相場のような気がしていること。

企業オーナーも含む、会社の偉い人は大体飽きっぽいので、温かく見守ってくれるのがそれくらい、というのが小生周辺では一般的な見解(苦笑)。

 

180日で現況を見極め、自分の能力で何ができて、何ができないのか、できない部分を協力してくれる仲間を作れるか、その上で自分の居場所を確保できるか。

180日後に、会社の偉い人から、「○○さん…?あぁ、なんか元気にやってるみたいだねぇ。」というところまで持っていければ、当分生き延びることはできる。

 

とは言え、何故か3〜5年でキャリアの節目が訪れるので、その時に再度評価されることになるという意味でも、ファンドと同じなのかもしれないが。

まぁ、ご参考ということで。

 

 

シンプルで本質的な質問は強力であるがそれゆえ役に立たない

シンプルで本質的な質問というのがある。

キャリア相談だったら、「あなたは何がしたいんですか?」なんかがそうだろうし、新規事業やスタートアップであれば、「顧客は誰ですか?」などが代表的だろう。

 

第三者が本人に対して、この問いを投げかけることはとても正しいし、本人がそれを考え続けることはとても重要だ。

その点において、全く異論はない。

 

しかし、小生が色々仕事を通じてキャリアや新規事業のお手伝いをする際、ストレートにそれらの問いを投げ掛けることはあまりない。

なぜなら、殆どの人が答えられないからだ。

 

答えたとしても、自信なさげだったり、自信満々でも虚勢だったりする。

人生において「何がしたいか」なんて、下手をすれば死ぬまでわからないし、何かを決断したから見えてくることだってあるし、そもそも正解はないし(かといって考えなくて良いというわけではないが)、新規事業における「顧客」だって、仮説として顧客は想定しなければならないが、最後は世に出して売れるまで答えはわからないのである。

 

シンプルで本質的な質問を投げかけて、ハッキリ答えられるくらいなら、小生が登場する出番はない。

みんな答えを持っていないから、コンサルティングなんていうビジネスの成立する余地があり、共に考え、発見のお手伝いをするからこそ、コンサルタントの存在意義があるのだろう。

 

小生が投げ掛ける質問の例はこんな感じだ。

「(転職でも新規事業でも)どうしてそんなことを考えたんですか?」というのは必ず聞く。

 

新規事業においては、「顧客は誰ですか?」とストレートに聞かず、「今の時点では、どんな人がそのサービスを利用すると考えていますか?」という風にすることが多い。

内容は同じなのだが、「今の時点では」「考えていますか?」という表記を加えることで、あくまで仮説なんだ、という幅を持たせ、本人が答え易くし、議論の出発点を作るのだ。

 

表現を回りくどくしただけなのだが、シンプルで本質的な質問は、時に人を思考停止に追い込む。

些細なテクニックだが、こうした配慮が、良い答えを導き出す為にはとても大事ではないかと考えている。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

 

スキルを効果的に向上させるコツ

こんな記事がある。

http://gigazine.net/amp/20170309-how-to-practice-effectively

 

スキルを上げるための反復練習がどのような構造で定着していくかのメカニズムと、要点として集中できる環境と反復継続の必要性を説いたもの。

一定の技術体系を学ぶ際には、基本的には一通りの技術ができるようになるためのプロセスと、その技術のレベルを上げるためのトレーニングがあると思う。

 

トレーニングには、技術そのものを向上させるトレーニングと、実践に近い場面でうまく使えるようにするためのトレーニングがある。

小生の通う道場では、前者を「創出」、後者を「使用」とおき、別の稽古として捉えている。

 

一方、実践で成果を出すのがゴールなのであれば、実践練習ばかり行うというのも、アプローチとしては存在する。

短期的な成果を問えば、実践中心の練習は結果につながりやすいと思う。

 

しかし、実践中心の練習は、練習相手のレベルに依存する。

3部リーグで戦っているだけでは、2部や1部に上がっていくことは難しい。

 

それをブレイクスルーするために技術が必要なのであり、身につけるためには一定のプロセスと、適正なトレーニングが必要となる。

気をつけなければならないのは、技術練習は技術練習で、実践を忘れた「為にする」練習になりやすいということ。

 

大山倍達 先生の言葉ではないが、「技術なき実践は蛮行であり、実践なき技術はただのうんちくである」といったところであろうか。

まぁ、ご参考ということで。

職場の人間関係は良くも悪くも長続きしない

こんな記事があって。

http://diamond.jp/articles/-/114610

 

中小企業経営では大変有名な株式会社武蔵野の小山社長のお話(とは言え個人的には「久し振り感」はあるが)。

課長は三年、新人は一年で異動を宣言することで、たとえ苦しくてもその環境が未来永劫続くわけではないとわかって、若手の定着率が上がったというお話。

 

上記のような事例は極端だが、ある程度の規模の会社だと、三年に一回の人事異動は良くあるので、上司と部下それぞれのタイミングを考えると、せいぜい一年半でどちらかがいなくなる、という話は以前も書いた。

苦しくてもたかが知れているし、楽しくても永遠に続くわけでもない。

 

職場の人間関係がメインの理由で転職を考えている方には、よほど危険な状況でもない限り、「一年経ったら状況変わるんじゃないの?」という投げ掛けはすることにしている。

小生自身も、過去にその判断が出来なかったこともあるしね。

 

しかし、小山社長の記事でとても大事だなと思ったのは、「今までとはトレンドが違う社員が入ったから、彼ら、彼女らに合わせて会社を変える。そうしないと、会社の業績も、社員の定着率も上がりません。従来の会社のやり方に若者を合わせると、失敗します。そうではなく、若い人たちのトレンドに会社を合わせる。これが仕組みづくりの秘訣です。」というくだり。

ラインに人が合わせるのではなく、人にラインを合わせる。

 

これからの会社は、ますます求められる考え方ではないだろうか。

まぁ、ご参考ということで。

 

 

大企業はやっぱり立派(なところもある)

今日はたまたま、銀行脱藩組同士で会話する機会があった。

辞めてわかる凄さ・ありがたさ、というのが、(ロクでもない人もたくさんいたが)立派な人が多かったという話と、物凄く教育を施してくれたという、いずれも人に関わる話。

 

小生も、事務系や営業系の仕事であれば、大抵の領域で、途方に暮れるようなことにはならない程度の戦闘力を身に付けてくれたことについては、今をもって感謝しているし、卒業生として恥ずかしくない人生を歩みたいと本気で思っている。

ただ、だからといってなんでも大企業が良いかというと、必ずしもそうとは言えない部分もある。

 

こんな記事がある。

http://thebridge.jp/2017/03/syainbango-hitoketa-interview-hiroaki-yasutake-the-latter-part

 

楽天創業メンバーの方のインタビューだが、「ビジネスモデルが優れているほど組織は劣化する」と仰っている。

これは小生も以前に言及したことがあるが、大企業というのはビジネスモデルが優れている故に、若者に教育を施したり、新事業に投資する余裕もあるが、それと裏腹に「ぶら下がる」人も存在し得てしまうのだ(そこだけフォーカスすると、何十年もかけて使い物にならない人材を作っているようにさえ見える)。

 

本当にやりたいことがあるのであれば、企業規模に関わらずチャレンジするのはいい選択だと思う。

そこまでのものはない時に、若いうちに大企業で学ばせてもらうという考え方はあるだろう。

 

しかし学んだ恩は、その組織で返すのが筋だし、それが出来ず「ぶら下がる」ことになりそうなのであれば、学ばせてもらった能力で、潔く外の機会を切り開く、常にそんな気概を持って働けたら、本当は良いのだろうなと思う。

まぁ、ご参考ということで。

介護系イベントに参加しての雑感

今日はクライアントのご招待で、ビックサイトで開催されている「ケアテックス2017」という、介護事業者さん向けの商談会イベントに参加してきた。

この領域の事業検討はまぁまぁ行ったことはあるが、業界インサイドのイベントに参加させていただくのは初であり、感じたことをいくつか。

 

・衣食住なんでもある

当たり前だが、高齢者の生活をどう支えるか、という事業者の集まりなので、衣服も食事も住宅もある。

衣服や住宅設備などは、高齢者本人目線とサービス従事者目線のものと存在するので、なお広いし、介護事業者向けB2Bサービスなんていうのまであるから、幅は相当なもの。

産業の裾野が相当広いというか、全産業が取り組み得るテーマなのだと考える方が正しいか。

 

・マッサージ機はフットマッサージ機が現実解らしい

フットマッサージ機のトライアルブースだけで、5箇所くらい目にしたと思う。

もちろん椅子のタイプもあったが展示はわずか。

価格やそれに見合う効果、現場でのオペレーションを考えると、これが一番良いということなんだろう。

 

・人間の購買心理について

400の出展企業の中で1社だけ、リハビリ用の簡単なトレーニンググッズを、在庫処分的に販売しているところがあったのだが、正直どこにでもあるようなもので、それほど割引されているわけでもないのだが、結構なスピードで売れていた。

このようなB2Bの展示会では、その場で物が買えることは稀だと思うが、大量の商品をアレコレ会場で見ていると、「こんなに物があるのに買えない!」という潜在的なフラストレーションが溜まり、爆発したのではなかろうか。

 

・課題先進国は世界に展開するポテンシャルを持つ

今回のイベントの中央ブースは、中国の政府機関が結構なスペースを占め、高官からのスピーチもあった。

介護事業は極めてドメスティックなビジネスであるが、課題先進国日本の最先端分野とも言える。

今の日本の介護事業者は、世界に開かれたチャンスを与えられている。

 

・高齢者の尊厳を守ろう

今回の出展企業で、個人的にとても面白いと思ったのが、こちら。

http://www.otona-gakkou.com/about/

介護施設内で学校をレクリエーションとしてやってしまおうというもの。

高齢者は決して幼児ではないので、幼稚園のお遊戯のようなレクリエーションではなく、学ぶ機会を提供し、認知能力の改善を図りながら、前向きな意欲を引き出すというコンセプトは素晴らしいと感じた。

さらに、学校で学んでいる間は、介護職員の自由時間が生まれるというのも、唸らせるアイデアである。

個人的にはもっと高いレベルの、ガチンコな学校でも良いと思ったが。

参加するきっかけになったクライアントも、高齢者に美味しい食事を提供したいという思いで、新規事業を立ち上げた。

現状の介護食は、残念ながら美味しいとは言えないものがまだまだ多く(もちろんコストの問題が大きいのだが)、やはり美味しい食事を楽しみたいという、人としての根源的な欲求は、もっと尊重されるべきだと感じた。

 

硬軟併せて長くなった。

まぁ、ご参考ということで。

 

耳が痛い

昨日に続き、記事のシェアから。

http://next.rikunabi.com/journal/entry/20170309_D

 

東レの佐々木さんと言えば、人事界隈(ワークライフバランス)では超有名人。

もう大分お年になられたなという個人的な感慨はともかく、相変わらずの佐々木節である。

 

端的に言えば、ワークライフバランスが取れないのは、日本人のプライベートが「貧しい」から、ということだろう。

仕事に逃げている、とも言える。

 

特に、「いっぱい働いて安心したい」という気持ちがあるという下りは、とても耳が痛い。

小生の同世代からプラスマイナス5歳くらいから、かなり家庭や子育てに突っ込んでいる男性会社員は多いと思うが、まだまだ「お手伝い」のレベルであることが殆ど(小生も含め)。

 

小生の場合は、かろうじて週末あれこれプライベートを確保しているが、平日にプライベートの介入する部分があるかというと、ほぼ存在しない。

極めて「貧しい」状況である。

 

今日の報道で、残業時間の特例上限を月間100時間とする話が出ていたが、月間100時間なんて、やればわかるが、そうそう続けられる業務量ではないし、続けられる状態というのは、裏を返せば「会社で生活している」ような状態で、案外集中した仕事になっていないことが多い。

働き方を色々見直すタイミングだからこそ、改めて佐々木さんのコメントは身にしみる。

 

まぁ、ご参考ということで。