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実は若き頃に「粗にして野だが卑ではない」という言葉は聞いたことがあり、「かっこいいなぁ」と思ったのだが、まさか石田禮助氏のものとは、本書を読むまで存じ上げなかったのである。
本書は、城山三郎氏による評伝。
石田氏は、こんな人。
明治生まれで戦前に三井物産で代表取締役社長を務め、戦後は公職に身を置きながら、70代後半で当時の国鉄総裁に就任する。
「粗にして野だが卑ではない」というのは、この国鉄総裁就任時に、自身を評して述べた言葉だそうである。
三井物産時代は、在職時の殆どの期間を海外で過ごし、歯に衣着せぬ物言い、公平で厳しい仕事振りは、畏れられもしながら、非常に人望も厚かったようである。
そのあたりのエピソードが、いちいちカッコいい。
自分もこんな風になりたい、と思わせられるのである。
時代は違うし、ビジネスのスケール感も、ほとんどのビジネスパーソンが置かれている状況とは違うのだけれど、経営者として、職業人として、人としてどうあるべきか、良い示唆を与えてくれるのではないかと思う。
気持ちの良い読後感の一冊なので、気負わずに読んでいただければと思う。
まぁ、ご参考ということで。