長いので後半タイトルは略。
この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」 池上彰教授の東工大講義 日本篇 (文春文庫)
- 作者: 池上 彰
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/07/10
- メディア: Kindle版
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池上彰氏の著作つながり。
内容はタイトルそのままなのだが、全三部作の真ん中に位置付けられている、ということは読んでから知った(別にこれだけ読んでも違和感はなかった)。
「戦後史」なので、政治経済とテーマは広めだが、55年体制とか、自衛隊はなぜこんな形なのかとか、バブル経済はなぜ起きたのか、というようなことが平易に語られる。
氏の著作は、専門の研究者が専門書として書くのではなく、あくまで一般の人(ジャーナリスト)が解説する分かり易さに特徴があるとされているような気がする。
と、されているものの、前回読んだ本と併せて感じたのだが、「解説が分かり易い」というところが、氏の本質では無いような気がする。
確かにわかりやすいのだが、「それ以上でもそれ以下でもない」解説、フラットというか、実際は特別に分かり易くなっているわけでもないと思う(詳しいおじさんに聞けば、十中八九、池上氏と同じような解説をしてくれるのでは、というような解説、とでも言えば良いだろうか…)。
むしろ、数多ある事象の中から、特定のテーマを切り出してくるところに、彼の腕があるのではないか。
55年体制の成り立ちそのものを、切り出して解説してもらえる機会が、これまでの人生にあっただろうか?
55年体制の成り立ちを知ろうと思えば、あれこれの専門文献に突き当たり、膨大な資料から、朧げに自分の知りたかったことが浮かび上がる、ということが普通なのではないか。
それをいわゆる”勉強”というのかもしれないが、そりゃ時間も労力も大変なのである。
膨大な事象の中から、重要なテーマを切り出し、テーマが概観できる解説を加え、その解説を積み上げることによって膨大な事象を”掴める”ようにする。
その編集力に、真骨頂があるのではあるまいか。
ジャーナリストの面目躍如と言えば、それまでなのだけれど。
仕事術としても、勉強になるなと思った次第。
まぁ、ご参考ということで。