人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

動物保護の裏にある…

Kindle日替りセールで高評価だったので購入し、しばらく寝かせていた一冊。

 

なかなか目を引くタイトルだと思う。

だから買って読んだところもあるのだが。

 

文学系の研究者による論文をもとにした本なので、やや難解。

三部構成だけれども、もとが独立した論文なので若干連続性が切れていて、重複もあったりして。

 

一体誰が読むんだというマニアックな本なのだが、読んでしまったものは仕方がない。

シートン動物記、星野道夫、そして「ザ・コーヴ」を紐解きながら、欧米から世界に広がった動物保護の背景にある思想・文脈を読み解くというもの。

 

あくまで著者の主張であるので、誤解のないように、というところなのだが、端的に言うとアングロサクソン系の人種差別的優位思想が形を変えて表出している、というのがものすごく荒っぽい要約。

フロンティアの喪失から始まったアメリカのスポーツハンティングは、一方で喰うために狩りをする原住民たちを野蛮なものと見做すようになる。

 

動物保護も、あまねく動物たちを愛護する高等な精神は、乱暴な扱いをする未開人を下に見る。

で、イルカ漁をしたりクジラを食ったりする奴は野蛮なので何処までも糾弾する、という思想背景があるのではないか、という…。

 

おう、さもありなん…。

ではあるが、本当にそうかどうかは難しい。

 

そういう部分はあるかもしれないね、という感じか。

社会科学系の論文は確定的な主張が難しいのでなんともねぇ。

 

まぁ、ご参考ということで。