人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

コケる時は顔面から。

小生がかつて、創業前からやり取りしていた技術開発型のベンチャーがあった。
有望なビジネスモデルとネットワークで、10億円ちょっとの出資を集め、7年ほど経営していたが、結論から言うと一度も黒字化せず、出資とほぼ同額の累損を抱えた状態に至ったと、やり取りしていた社長からご報告をいただいた。

従業員の賃金と社会保険の未払いも5千万円ほどあり、小生的には「え〜っ!どうすんの!?」というところだったが、社長から聞いた次の展開は衝撃だった。
累損が10億もあると、その会社を買収した企業は連結する事で、5年間に渡って本業の利益と相殺する事が出来、節税が可能になるため、税効果としては(理論上)数億円の価値があり、未払金を肩代わりしてもらう格好で会社を売却し、顧客が付きつつある事業だけ切り出して新会社とし、改めてファイナンスして再スタートを切ると。

もちろん既存株主には迷惑をかけたわけで、社長も無傷では全くないが、自己破産もせず、踏み倒しもせず、「そんなやり方があるのか!」と、まさに目から鱗が落ちた思いであった。
その時思ったのは、その社長に失礼だし適切な表現でもないけれど、「全力疾走して顔面からコケるような失敗であれば、手は差し伸べられるのだな」というものであった。

小生としては、キャリアの上でも同じような事はあると考えている。
たとえ転職して、必死に頑張ったけれども顔面からコケるような失敗や挫折があって、再度転職という話になったとしても、誰かが頑張りを見ていて、取引先とか、お手伝いしたエージェントなんかが、手を差し伸べてくれたりするように思う。

だが、誰の責任かは別として、走ってみたけど中途半端とか、よくあるのは社内抗争に巻き込まれてしまい、当初の入社時の想定が崩れて走ることすら許されない、なんていう展開になってしまうと悲惨だ。
いたずらに職歴と年齢を重ねてしまった格好になると、なかなか手を差し伸べ難い。

この辺は、入社前に丁寧に状況を確認し、見定めていくと、ある程度避けることは可能だと感じている。
顔面からコケると確かに悲惨だが、走ることすらさせてもらえないと、もっと悲惨、というのは重ねて申し上げておきたい。

まぁ、ご参考ということで。