人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

本当に幻になった

Audibleにあったら高野ファンとしては読んでしまうというもの。

 

イラクに存在するという湿地帯と、そこに生活する人々の知られざる実態を探究しようというプロジェクトをまとめた一冊。

2018年の予備調査から始まりコロナを挟んで2023年脱稿だったと思うので、長期の取組である。

 

小生にはまず中東に湿地帯というのがピンとこない。

まぁ無知のなせる技なんだが。

 

そこで歴史ある暮らしを営み、ムスリムでもなく時の政府に協力したり反発したりという知られざる民族。

それを称して「水滸伝」と読んでいるわけだが。

 

インドア派の小生にとって、海外での冒険、未知の食い物、言葉も怪しい状況でのコミュニケーション、そして培われる信頼関係は憧れでしかない。

今回も思う存分堪能できる。

 

しかし高野さんも丸くなったな。

特に今回はさらに年長の同行者もいたので、破天荒さは抑えめ。

 

でも全然ネガティブなニュアンスではなく、それでもやっぱり奇想天外ではあるので。

そんな「水滸伝」ではあったのだが、気候変動やダムの建設などの影響で、本書の時間軸ですら幻になりつつある後日談が語られてしまう。

 

それはそれで大問題ではあるのだが、そんなことを物ともしないイラクの人々のエネルギー。

これもまた高野作品の魅力だと思っている。

 

まぁ、ご参考ということで。