人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

三方良し

積読在庫消化。

 

新書ではあるが、割とアカデミックなベースの本だと感じた。

感覚で語られてはたまらないので、これは褒め言葉なんだけれども。

 

三方良しの精神で日本の商業史に名を残した近江商人と、その現代版である中国温州商人、そしてトヨタに代表される「ケイレツ」組織の強さを紐解いた本。

それぞれの詳細を分析するのではなく、どう共通し、何が違い、どうすれば陳腐化を乗り越えられるのか、という点にまで考察が及ぶ。

 

何か特別新しい発見というのはないのだけれども、同一コミュニティの結束の強さをベースに、それだけでは陳腐化してしまうので「新しい血」をどうやって混ぜていくか、というのが長期繁栄のポイントなんだなと。

「らしさ」の追求と適度な新陳代謝

 

順番としてはまず「らしさ」の追求が先なんだろう。

一方で、所属している組織の中で、「らしさ」と新陳代謝に、個人としてどう貢献するか、というのは考えどころなのだが・・・。

 

いずれにしても、組織論として真理をついている本だと感じた。

意外な掘り出し物である。

 

余談であるが、上記趣旨の体現例として、東日本大震災で被災したルネサスエレクトロニクスの工場を復旧させるプロジェクトが登場するのだが、「プロジェクトX」的な読み物として非常に面白かった。

お好きな方はそれだけでも一読の価値があるのでは。

 

まぁ、ご参考ということで。