若い頃、特に20代は沢木耕太郎ばかり読んでいたと思う。
とんとご無沙汰だったのだが、ビジネス書以外も読もうと思っている昨今、久しぶりにエッセイを手にしてみる。
本書はJR東日本発行の雑誌連載をまとめたもの。
なので、旅にまつわる、それもJR東日本管轄エリアでの電車の旅を軸にした、比較的短いエッセイ集となる。
非常に読みやすく、サクサク進む。
久しぶりの沢木耕太郎作品はどうだったのか。
当初はスノビッシュな感触がちょっと気になり、あれこんな感じだったかな、やっぱり歳をとったかな(小生か、沢木氏か、両方か)と違和感を持ったりする。
とはいえ、引っ掛かりが少ない作家なので、そのまま読んでいくと、印象深いエピソードもあったりして、読後感としては満足いくもので終わる。
そういえば20代の頃も、別に熱狂的に好きなわけでもなく、どこが良いとも上手く言えたことはなかったし、若干スノビッシュな感じがしなくもないとは思っていた。
だけどあらかた作品は持っていたし、読んでいたという作家であり、別の作家への入り口にもなる人だった。
そして40代も折り返し地点を過ぎた今、また手にしていたりするので、きっと自分の人生に大きな影響を与えた作家ということになるんだろうなと。
そういう作家との邂逅、因縁、思い出というのは、もっと劇的なものというイメージがあったのだが、どうも小生の場合はそういうものではなさそうだ。
ある時期に一通り読み、それもヒマにあかして何回も読み、しばらく歳月を経てからまた手にしてみる。
あぁ、こんな感じだったっけなぁ、といった淡々とした関わり。
「君子は水の交わり」ってやつか?
そんな読書人生なのかもね。
まぁ、ご参考ということで。