コロナで稽古できない事もあり、ちゃんと合気道の勉強もしてるんだぜ、ということで読んでみる。
三代目道主はそろそろいい歳なので、公職も次に譲りそうだし最後の本になるのかな、という記念でもあったりする(不謹慎?)。
本自体は「その歴史と技法」と言う通り、前半部で歴史、後半部で技術解説(基本技をサラッと)という構成。
一応概略は知らないわけではなかったのだが、開祖の生い立ちを改めて読むと面白い。
一流一派をなさんとする人の人生はダイナミックだね。
中学に行かずに珠算を勉強し、東京で一度商売で身を立てているなんて知らなかった。
北海道の開拓に従事していたのは知っていたけれども、何百世帯もの村を築くリーダーとして村会議員にまでなっていたとは。
力持ちで義侠心もあり、人を動かすこともできて、というのは、そりゃいつの時代も周りが捨て置かないだろうなぁと。
ハチャメチャな人のようなエピソードを多く聞いていたし、超人的な武芸の逸話もあったりするので、孤高の武術家というイメージがあったのだが、結構まっとうなリーダーだったのだろうし、その後の二代目道主とのやり取りを読んでも、しっかり後継に任すことができる人だったようだ。
いや、面白かった。
それにしても、三代目道主は植芝家が代々「道統」を継ぐことにこだわりを持っているようだが、なにか思うところがあるのだろうか…。
ブックレビューでそのあたりを悪し様に書く人もいるようだが。
個人的には好きにすればいいと思うけど。
後半部の技術解説の方は…。
本で武術の説明をするのは難しいね…。
師匠から教わった武術的な「理合(りあい)」は、ほぼ無いように見える。
本当に無いのか、選ばれた相手には教えるのか、本というフォーマットの限界で敢えて書いてないのか、よくわからない。
合気道はその高い精神性が世界で受け入れられている、という話になっているけれど、武術としての理合がなければ護身術レベルでも使えないからねぇ。
精神性のコンセプトとちょっとしたエクササイズで普及させていくなら、そりゃもうアメリカ西海岸から展開していったヨガみたいなものでしょう(インド伝来ではなく)。
どうするのかなぁ…。
と思いつつ、同じ投げかけは、修行者たる小生にもブーメランとして還ってくるのでした。
まぁ、ご参考ということで。