人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

本の値段

その本が高いか安いか、それは主観的で相対的なものだ。

価値を感じれば安いと思うだろうし、価値を感じなければ高いと思うだろうが、それは人それぞれだし、同じ人でもタイミングによって感じ方は違うことがある。

 

電子書籍ではない一般的な本(この表現をわざわざするのも変なのだが)であれば、本の中身だけではなく、デザイン・装丁・質感など、モノとしての価値、書棚に置いた時の誇らしさ、人に見せた時のマウント力なんていうのも価格に含まれるかもしれない。

まぁ、そんなことは当たり前なんですよ。

 

そう思って本と向き合ってきたし、まさかグラム当たりいくら、ページ数が多いから高いとか安いとか、そんなことを考えていたわけではない。

だが最近ちょっと感覚を揺さぶられる体験があった。

 

先日読んだマーベルに関する電子書籍、マーベル社が長い紆余曲折を経て大成功を収め、「そろそろ終わりかな?」と思ってKindleの表示を見ると全体の55%くらいの位置。

「あれ、まだなんの話があるんだっけ」と思いつつ読み進めると、原著の註釈、訳者解説、訳者による追加の註釈でラスト三割くらいを占めていたのであった。

 

マーベルなので色々なキャラクター名が登場し、その註釈をつけてあげることは必要だし、悪いことではないのだが、その時ふと思ったのだ。

いま目の前に400ページくらいの分厚い本があったとして、その厚みを眺めつつ、厚みの三割が註釈であると知ったら、その本を買うだろうかと。

 

註釈に金を払わされていると思ってしまったら、それが必要なものだったとしても、買わないような気がする。

別の日、近所の本屋で平積みの書籍を眺めていると、電子書籍で読み流した本が売っている。

 

セールで三分の一くらいの値段で買い、既に内容を知っているからそんな風に感じるのかもしれないけれど、これ紙の本だったら買ってなかっただろうなと。

読み返すほどのものでなければ場所を取るだけなので、安くてもいらないし、リアルに手に取る存在なのであれば、ずっと手元に置きたくなるような、もっと自分にとって価値のあるものであって欲しい。

 

紙の本は註釈やリンクを大量につけるのは憚られるかもしれないが、それが必要なのであれば電子書籍のフォーマットの方が適しているのかもしれない。

電子書籍はモノとしての価値への期待が低く、買っておいて邪魔になることがないから、購入のハードルは低いかもしれない。

 

紙と電子、新たなフォーマットによって、本の値段は更に多様化したんだな。

まぁ、ご参考ということで。