日本の古来伝統を探ろうと、柳田國男を物色しているその間に、一発こんな本を挟む。
外山滋比古氏は「思考の整理学」という本で有名で、
それを読んだこともあって、Kindle日替りセールの時に買ったのだと思う。
Wikipediaを見るに、英文学者・エッセイストでありながら日本から出たことがないという、ある意味すごい人である。
世代的に海外との行き来が今ほど簡単ではなかったとはいえ、英文学を専門としながらイギリスに行ったことがない、というのはどんな気持ちなんだろう…。
そういえば小生の高校時代の英語教師の一人は海外旅行経験の無い人だったと記憶しているが…。
毎日ケトルベルを振っているが、じゃあロシアに行かなきゃいけないかというと、そんなもんでもないしな(違うか)。
それはともかく、本書「ライフワークの思想」は単なるエッセイ集。
70年代後半に書かれたものが底本なので、その時代を反映させた話題があったりして、微妙に懐かしいのだが、途中からイギリスのパブリックスクールの話になり、イギリスとの比較論になり、日本文化論的な内容になりと、あまりタイトルと関連性は無い印象。
人生引退してからも長いんだから、ライフワークとなる分野を持ち、死ぬまで勉強すべき、という主張はとても良いと思うのだが、なんとなく浅ーい内容が(読者層に合わせているだけかもしれないが)さらさらっと続く。
エッセイとはそんなもの、という気もしなくもないが、時代とともに風化している印象が否めない文章。
古典の類でも、その時その時の洞察、思考が鋭ければ、結構読ませるものだと思うのだが、どうも昔のオジサンの説教というか、オジサン週刊誌のコラムによくある文章というか。
オジサンは余計なことを語らず、さっさと新たな場所を求めて旅立つのがいいと思うね、ということを思い浮かべたのであった。
まぁ、ご参考ということで。