こんな本を読む。
日々仕事を中心に文章を書いていて、時にそれが自分の提供価値になっていることも実感したりすると、文章力向上は気になるテーマとなっていく。
修辞もあるけれど語彙も大事。
言葉を知っているか知らないか、というのは単なる知識の問題のようであるが、思考のそれなのである。
知らない言葉は考えられない。
パッと思いつくだけで、「おもねる」「憚る」とか、概念として知らなければ、そういう思考や心情も発生しないんじゃないか。
「おざなり」と「なおざり」とか、区別がつけば思考も整理されていくのだし。
そんな、思考力の礎となる語彙力を鍛えるにはどうしたら良いか。
それはやっぱり本を読むことだろう。
多分ビジネス書でもダメで、なぜならビジネス書というのは多くの人に読まれんがために論理的かつ平易に書かれていることが多いからだが、そこはやはり文学系になるのだろうなと。
人の心を扱えばこそ、論理的でない機微の中に、豊かな表現が広がるのだと思う。
そして読んで知ったら、使ってみる。
その繰り返しなんだろうなと。
思考力が高ければ仕事ができるかというと、決して皮肉でもなく、そんなことはないのだが、人生を豊かにしてくれることは確かだろう。
それにしても、本書は面白かった。
言葉という身近な存在を、さまざまな切り口で紹介し、「へー」とか「なるほどね」と唸らせてくれるだけでなく、日本語研究に真剣に取り組み、日々「ああでもない、こうでもない」と過ごしている著者の微笑ましい生活振りが窺えるのである。
ご興味のある向きはご一読あれ。
まぁ、ご参考ということで。