社員全員が経営者感覚を持って欲しい。
これまで何人もの経営者とお会いしてきたが、こんな要望をよくお聞きしてきた。
実態はどうか。
なかなか難しい。
目の前の実務に集中している社員に全社的な視点を持てというのは、全社的な視点だけ持てばいい経営者より高度なものを要求することになる。
その試練を乗り越えた人間だけ這い上がる、というシステムならそれもまた良しであるが、まぁ難しい。
そして「経営者感覚」の言葉の裏には、不確実な未来を踏まえ全社的な視点でビジョンを描き、意思決定をしてくれたら、という願望も時に見え隠れする。
それこそ経営者の仕事なのだが、一人の生身の人間であるが故に、自信を持ちきれない経営者の本音が出ているのだと思っている。
はっきり結論が断定できない状況で意思決定を行うのは、極めてストレスフル。
意思決定の先にある結果責任まで問われるのだとすれば、それこそ勘弁願いたい。
そう、みんな誰かに決めて欲しいのである。
こんな本を読んで、そんな感想を思う。
「若い読者のための」シリーズは、エール大学監修のものだが、どれも良書である。
池上彰氏の宗教の本もわかりやすいが、本書も同じくらいわかりやすく、広く網羅的に解説してくれている(その分長いが)。
本書を読めば、神を求める心理、そして権力欲が、人類普遍(不変)のものであることがわかる。
不確実な未来、厳しい現実、忘れられない過去を前にして、人知を超えた存在を求めるのか、別の道を選ぶのか。
まぁ、ご参考ということで。