人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう」 読了 〜失敗は伏線〜

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これもKindle日替りセールでポチった一冊。

著名人の若き日のエピソードというだけでそれなりに面白そうだし、キャリア論的な学びがあるかな、という程度の理由で購入。

 

積読消化で引っ張り出したのだが、結論から言えば非常に面白かった。

山中伸弥羽生善治是枝裕和、山極壽一の話が面白くないわけがないのだが。

 

大学で行われたそれぞれの講演録と著者との対談という構成になっていて、いずれも興味深い。

最近の若者は著名人と距離を置いてしまって憧れるということが少ないのでは、であれば率直に失敗談も含めた若き日を語ってもらおうではないか、という趣旨なのである。

 

それにしても、人生における失敗というのは、物語の伏線みたいなものかもしれないな、と思う。

その瞬間はその失敗か全てを支配しているかもしれないが、後になって「そうきたか!」という展開に持っていくことは可能なのである。

 

いや、そう持っていく主体的な営みこそが腕の見せ所だし、伏線は回収しなければ伏線のままで、本当に勿体ないだけ。

もちろん、回収しきれない伏線だってあるだろうから、「若いうちはとにかく失敗しろ」と無責任に言うことは出来ないけれど、伏線のない物語が面白い筈もない。

 

回収しきれないほど伏線を張っても仕方ないけれど、そこそこインパクトのある伏線でなければ、物語は面白くならない。

失敗との向き合い方というのは、そういうものなんじゃないか。

 

まぁ、ご参考ということで。