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もはやなぜポチったか記憶が定かではないのだが、歴史物をそこそこ読んでいたときに、日替わりセールか何かで推奨されて購入したのかもしれない。
積読在庫に手をつけるべく、拝読。
日本の歴史、文化の特徴を、能力や人による支配ではなく「家」とその世襲による権力の固定化と解釈し、その論証を試みる本と言ってよいか。
新書という立て付け故か、一般読者に向けた読み物として、著者の解釈がどんどん展開していく。
ただ、世襲的に権力が固定化する様は本書によって読み取れるものの、全般に論証としては弱いと感じた。
帰納的に証明せざるを得ないのは致し方ないとして、であるならば「なぜそうなるのか」という構造にまで踏み込まないと、都合の良い事象ばかりを引き合いに出されているように見えてしまうからだ。
さらにそこで、「豊臣秀吉はコスパの良い戦略を好んだ人物である」というような一言がサラリと入ってくると、本当にそんなふうに断言して良いものか?という疑念が湧き、全体の信頼性にも影響してくる。
依って立つところが著者の主張の強さそのもの、という風に感じてくる中で「あとがき」に突入するのだが、そこで「実際の世襲議員には優秀で好人物も居て、一概に世襲が問題とはいえない」みたいなことになり、読後感としては「何が言いたかったのかよくわからない」というのが正直なところ。
厳しい表現だが、「そんな解釈もあるかもね」という感じで読み流す歴史ネタ本、という印象。
まぁ、ご参考ということで。