新卒の同期と、十数年振りに再開し、酒を酌み交わす。
横に座る彼は、小生の中では20年前、20代の時の印象のまま。
彼が言う。
「2年目の部下が研修プログラムの一環で、上司の自分に対して『仕事で大事にしていること』を聞いてきたんだ。すかさず『信頼、信用』と答えたね。
ピンときてないみたいだったから、上杉謙信の話までしようかと思ったけど、やめておいた(笑)。」
昔仕えた上司のようなことを、新卒同期の印象のままの彼が語る様が可笑しくてたまらない。
しかも歴史オヤジと化しているし。
そして彼の言い分に100%納得している自分がいることにもウケる。
気がついたらお互いオヤジになってしまっていた。
はたまた、お互いの愚痴を言う。
「簡単にシステム化、仕組み化なんて言うけれど、数百件レベルの作業なら手作業で出来るよ。頑張れば全然余裕なのに、それを指示しちゃうとパワハラになりかねないし、今の若い子たちには難しいだろうね〜。」
いやそれ、全く同じことを、昔の上司は我々に対して言っていたはずだから。
当時の上司と同じことを繰り返している自分たちの様が可笑しくてたまらない。
「今どきの若者は」という愚痴は、遠く数千年前から存在し、現在も繰り返されている。
我々はそんな悠久の営みの中にあり、数千年の中の一瞬として「今どきの若者は」と言われ、「今どきの若者は」と言っている。
昔の上司を思い起こさせるような、彼のくたびれた背中を見送りながら、あぁ、昔の上司も、きっとこんなふうに上司になったんだなと、20年前に感じた印象が上書きされていく。
20年後であり、20年前である、そんな不思議な夜であった。
まぁ、ご参考ということで。