人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「地雷を踏んだらサヨウナラ」 読了 〜70年代の青春の手記〜

まずはリンク。

 

地雷を踏んだらサヨウナラ (講談社文庫)

地雷を踏んだらサヨウナラ (講談社文庫)

 

 

 

引き続きの積読在庫を片端から読み漁るシリーズ。

小生は20代の頃、沢木耕太郎を中心にノンフィクションばかり読んでいた時期がある。

 

沢木耕太郎であれば「深夜特急」「一瞬の夏」あたりが代表作で、70年代の若者の青春、それも主に自己のアイデンティティの探究をテーマにした作品といっても良いだろう。

2020年代に突入し、40代になったいま振り返ると、あれは当時の社会背景・空気感と、20代の若者のメンタリティが絶妙にマッチした作品だったのだろうと思う。

 

もちろんそれは、「昔は良かった」とかではなくて、その時代その時代にしか描けない物語があるということで、2020年代特有の物語は、一読者として是非読みたいと考えている。

話が脱線した。

 

本書「地雷を踏んだらサヨウナラ」は、「深夜特急」「一瞬の夏」を読むような人間には常にレコメンドされる一冊だったのだが、どうにも縁がなく、初めて本書を知ってから、おそらく20年以上経過して、ようやく手に取った次第である。

フリーの戦場カメラマンを目指し、内戦期のカンボジアを中心に従軍し、20代で命を落としてしまった著者の、手記や手紙、著者に宛てられた母親の手紙などを時系列でまとめたもの。

 

今の二十代の人々は、当時のカンボジアがいかに凄惨であったが、世界史でもちゃんと習わないはずなので、おそらく知らないと思う。

そんな環境の中で、志を立て、それを為さんがために生き急いだかのような若者の生き生きとした生活が読み取れる。

 

自分が何者であるかを問う、それが当たり前である空気感、今と違って海外の情報が入らないからこそ「じゃあ行ってみよう」となるバイタリティは、なんとなく70年代のノンフィクションに通じる時代感覚のように思う。

セクシャルな話題も開けっぴろげに書いてあるので、今のコードではなかなか新鮮に感じるところでもある。

 

そんな昔の空気感・時代感を、久しぶりに味わせてもらった。

まぁ、ご参考ということで。