人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「ぼくの血となり肉となった五〇〇冊 そして血にも肉にもならなかった一〇〇冊」 読了 ~評価と生かしどころが難しい本~

まずはリンク。

 

 立花隆氏の著作は大学生~20代のころによく読んだ記憶がある。

「サル学の現在」とか、サイエンス系を中心に数冊、という感じ。 

サル学の現在

サル学の現在

 

 

立花氏を有名にしたのは、「田中角栄研究」なのだが、こちらは未読。

 

というように、非常に振り幅の広い作家であり、知の巨人といってよいと思う。

社会人になってからは、ビジネスに直結する本ばかり読んでいたので、サイエンス系を中心とする立花氏の著作からは離れていたのだが、昨今、一般教養の読書を重ねていることもあり、久しぶりに手に取った。

 

タイトルでお分かりの通り、書庫として一棟ビルを持っているほどの立花氏が、どんな本を読んできたか、という内容。

前半、文芸春秋社の記者からインタビューを受ける形で、ビルの中を上がったり下りたりしながら、思い出の本を語っていく。

 

そして後半は雑誌連載の書評をまとめたもの、という形なのだが、まぁとにかく長い。

通常の新書の2~3冊分というところだろうか。

 

そして残念ながら、小生個人としてはあまり得るところがなかったというのが正直なところ。

立花氏の著作の通りで、紹介される本のカテゴリーが猛烈に幅広く、とっつきどころがない。

 

そして立花氏が無茶苦茶頭がいいからだと思うのだが、結構難易度の高い本ばかり(哲学系の専門書からはじまり、海外の学術書とかまで紹介される)。

さらに本書前半部分では、比較的古い本が紹介されるので、手に入らないであろう書籍も多数(後半も連載が10年前である)。

 

結局、「うーん、凄いね」という感想くらいで、何も残らない感じなのだ。

多読の人というのは、興味の範囲も広くなっていくので、そんな人たちのブックリストは、案外とっつきにくくて他の人には使えないものなのかもしれない。

 

米原万里氏のこの本もそんな印象だった。

打ちのめされるようなすごい本 (文春文庫)

打ちのめされるようなすごい本 (文春文庫)

 

 

凄いのはわかるが、評価と生かしどころが難しい。

そんな感想である。

 

まぁ、ご参考ということで。