これは合気道の師匠から教えていただいたこと。
スランプとは何か?
武術でもスポーツでも、ベーシックな反復動作から技を作っていく。
突き蹴りなら何もない空間に正確な動きを展開し、対象物があったとしても、動かないものを突くなり蹴るなりして稽古を重ねる。
野球のスイングだってテニスのサーブだって、再現性の高い動きを意識してトレーニングしていくはずだ。
そうやってレベルを上げていく。
しかし実戦となると、そういうわけにはいかない。
敵は常に動いていて、稽古そのままの突き蹴りは当たらない。
しかも反撃してくるから、十分な体制で技を出させてくれることもない。
なので、実戦で結果を出すためには、「型通り」ではない動きを身につけていく必要がある。
しかし、「型通り」ではない動きをやり過ぎてしまうと、いずれ型が崩れてしまい、「型通り」の技が持っていた威力が失われ、結果が出なくなる。
これがスランプである、と。
なので、これまで結果が出ていたのに、何故か出なくなってしまった、すなわちスランプの時は、自覚していなくても、結果の要因であった「型通り」の動きができていなくなっている可能性は高い。
故に、スランプを乗り越えるためには、型通りの稽古による修正が必要となる。
ここまでが師匠の教え。
ここからは、武道もビジネスもスポーツも同じ切り口で考えてしまう弟子による蛇足。
個人起点でスランプを分析すると、論理的には師匠の言うとおりなのだが、もう一つ観点を追加すると、長い目で見た時には、修行者(ビジネスパーソン、プレイヤー)のメンタル&フィジカルは変化しており、「型通り」といえども、その時々の最適解を追求し続けなければならない。
つまり、二十代の自分と四十代の自分は同じ「突き」ではないということ。
そして、戦いのルールもまた、微妙に変化するということを忘れてはならない。
武道の世界ですら、スパンは長くても武器の流行り廃り、道具の進化、有効な戦術の発明と普及ということが、歴史上繰り返しているし、ビジネスやスポーツも数年単位で変化が起きている。
これもまた、その時々の最適解を追求することは言うまでもない。
「スランプかな?」と思ったら、①かつての勝ちパターンは正確に再現できるのか(崩れていないか)②今の自分にフィットした動きなのか③今のルールにベストなやり方なのか、をチェックするのが良いのではと考える。
まぁ、ご参考ということで。