人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「最難関のリーダーシップ」 読了 ~これはちょっと微妙~

まずはリンク。

最難関のリーダーシップ――変革をやり遂げる意志とスキル

最難関のリーダーシップ――変革をやり遂げる意志とスキル

 

 

イノベーションと組織に関わるテーマでは、埼玉大学の宇田川先生が昨今著名なのだが、

https://bizzine.jp/person/detail/351/

インタビュー記事等で本書への言及があり、手にした。

Amazonのレビューはそれほど高いとは感じなかったのだが。

 

本書は、タイトル通りリーダーシップ研究に関わる、アメリカの研究者による重量級の一冊である。

本書の優れたところは、企業経営・組織における課題を、技術的課題と適応課題に分けて考える、というところに尽きると思う。

 

小生なりの理解で述べると、技術的課題とは、問題点がある程度明らかになっており、その道のプロが集まって取り組めば解決する課題。

一方の適応課題は、ありたい姿と現実とのギャップみたいな話で、普通は答えのない(少なくとも組織の何処かに答えが納められているものではない)課題である。

 

そういう適応課題を論理的に(?)解こうとするから間違えるし、前に進めないのだ、という視点を提示したところが、本書の最大の貢献である。

で、賢明な諸兄はお分かりのとおり、適応課題を解くのは簡単ではない。

 

組織のありようを観察し、議論や合意形成を積み上げ、日々の行動に落とし、それが習慣化されて、振り返った時にはじめて良くなったかもしれない、といえるようなものである。

それは技術的課題の裏返しではあるのだが、有効性が明らかなインスタントな答えはない。

 

ということを踏まえて、だと思うのだが、そういった適応課題に取り組む「リーダー」に向けて、本書ではいろいろな文章が書き連ねていくのだが、これが個人的にはキツかった。

著者陣としては論理的に書いているつもりなのだと思うのだが、ビジネスにまつわるエッセーのような、データも論理も曖昧な事例が延々と続いていく。

 

一つ一つは、まぁそうだよね、というエピソードなりエッセンスなのだが、読み終わっても全く記憶に残らない。

もちろんそれは読者としての小生の至らなさでもあるのだが。

 

久しぶりの「これはちょっと…」であった。

まぁ、ご参考ということで。