まずはリンク。
- 作者: ロナルド・A・ハイフェッツ,マーティ・リンスキー,アレクサンダー・グラショウ,水上雅人
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2017/09/06
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る
イノベーションと組織に関わるテーマでは、埼玉大学の宇田川先生が昨今著名なのだが、
https://bizzine.jp/person/detail/351/
インタビュー記事等で本書への言及があり、手にした。
Amazonのレビューはそれほど高いとは感じなかったのだが。
本書は、タイトル通りリーダーシップ研究に関わる、アメリカの研究者による重量級の一冊である。
本書の優れたところは、企業経営・組織における課題を、技術的課題と適応課題に分けて考える、というところに尽きると思う。
小生なりの理解で述べると、技術的課題とは、問題点がある程度明らかになっており、その道のプロが集まって取り組めば解決する課題。
一方の適応課題は、ありたい姿と現実とのギャップみたいな話で、普通は答えのない(少なくとも組織の何処かに答えが納められているものではない)課題である。
そういう適応課題を論理的に(?)解こうとするから間違えるし、前に進めないのだ、という視点を提示したところが、本書の最大の貢献である。
で、賢明な諸兄はお分かりのとおり、適応課題を解くのは簡単ではない。
組織のありようを観察し、議論や合意形成を積み上げ、日々の行動に落とし、それが習慣化されて、振り返った時にはじめて良くなったかもしれない、といえるようなものである。
それは技術的課題の裏返しではあるのだが、有効性が明らかなインスタントな答えはない。
ということを踏まえて、だと思うのだが、そういった適応課題に取り組む「リーダー」に向けて、本書ではいろいろな文章が書き連ねていくのだが、これが個人的にはキツかった。
著者陣としては論理的に書いているつもりなのだと思うのだが、ビジネスにまつわるエッセーのような、データも論理も曖昧な事例が延々と続いていく。
一つ一つは、まぁそうだよね、というエピソードなりエッセンスなのだが、読み終わっても全く記憶に残らない。
もちろんそれは読者としての小生の至らなさでもあるのだが。
久しぶりの「これはちょっと…」であった。
まぁ、ご参考ということで。