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「チェ・ゲバラ伝」 読了 〜これは惚れる〜

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増補版 チェ・ゲバラ伝 (文春文庫)

増補版 チェ・ゲバラ伝 (文春文庫)

 

 

我らが革命の英雄(?)、チェ・ゲバラの評伝である。

近代史を中心に読み漁っていたこともあり、その延長で随分前に買ってあったものを引っ張り出す。

 

日本人の作家が丹念に取材したもので、基本的に時系列で進んでいくので読みやすいのだが、過去の何冊かの評伝を統合した関係で、「生い立ちから亡くなるまで」+「アフリカでの活動記録」という体裁になっている。

チェ・ゲバラについては、ベニチオ・デル・トロの「チェ」二部作、「モーターサイクル・ダイアリーズ」の映画は見ていたので、予備知識は一応ある。

 

なので、本書を読んでおさらい、という感じではあった。

それにしても、地球の裏側に住む日本人が、よくもまあここまで丹念に取材したねという感じで、「評伝」とは書いたが、もはや研究のレベルかと思う。

 

チェの当時の活動の背景としては、もちろん米ソの対立構造と、その延長としての開発途上国支配という力関係があるわけだが、そんな前置きなしに、ひとりのヒーローの生き様が魅力的である。

私心なくストイック。

 

帝国主義からの解放のために、革命の英雄の座を捨てて新たな戦いに向き合い続ける理想主義。

そりゃみんな付いていくわけだ、ということで、これはリーダーシップの一つの有り様として、参考にもなると思う。

 

著者自身がおそらくチェに惚れているので、こういったヒロイックな人物像になっているのかもしれないが、革命の英雄の座を捨てて、新たな戦いに挑んだという大きな事実は揺らぐまい。

なんというか、憧れ、また身が引き締まる思いだし、大学生くらいの時に読んでいたら完全にノックアウトされていただろうな、という本である。

 

まぁ、ご参考ということで。