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お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力……はこう「動いた」
- 作者: 大村大次郎
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2015/12/14
- メディア: Kindle版
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本シリーズ3冊目。
著者の、「お金と歴史シリーズ」では最初の1冊らしい。
本書では、「お金の流れ」を切り口に、世界の古代から現代までを概観していく。
昨日までにエントリーした2冊と、著者の主張は同様ではあるが、国家というものは徴税と再配分のバランスが崩れると衰退していく、ということが強調される(この辺は元国税庁職員ならでは、ということか)。
中央集権で一律に広く税を集める体制というのは、極めて画期的だが難易度が高く、故に歴史上の多くの国では、広範な領地から富を吸い上げるために、どうしても徴税権を持った人間を国家権力の方で「雇う」ことになってしまう。
勢い、徴税権を持った人間が力を持ち、国家が内部崩壊していく、というパターンである。
また、現在当たり前のように普及している通貨・為替といった行いも、千年以上前に社会実装されており、それぞれの裏付けとなる国が崩壊してはまた作られという、こちらもある種のパターン。
斯様に、人類は同じことを繰り返していく。
そうやって概観してみると、そこそこの税負担とそこそこの格差、腐敗のない政権と国家システム、活発な商取引、なんていうことを維持できている国家が長続きする。
そこには程々の規制と、有為な人材の登用システムといった裏側も見え隠れしたり。
本書の末尾ではタックスヘイブンに触れられていて、徴税権が見えなくなると、腐敗や格差を生み、社会が不安定化するが、過去の歴史に照らし合わせていかがなものか、という主張がなされているけれども、そう言われてしまうと説得力のある意見に感じられてしまう。
あともう1冊、読んでみようと思っているが、引き続き楽しみにしたい。
まぁ、ご参考ということで。