まずはリンク。
氏の著作は何作か読んでいて、いずれも説得力ある仕上がりに感服させられていた。
最新刊ということで、思わず手に取った次第。
著者は元アナリストで、現在は伝統工芸の分野の企業経営者として多くの意見を発信し、政府の委員なども務めている。
人口減少が劇的に進む日本に対し、著者なりの処方箋を説いたのが本書である。
提言は色々あるのだが、要石は「最低賃金を上げよ」というもの。
著者の基本的な認識には、日本には中小企業が多すぎていて、そのために生産性が上がらない、ということがある。
なので、上がった最低賃金が払えない中小企業が淘汰されることを是としている部分はあると思う。
小生も基本的には賛成。
中小零細でセコセコ頑張っても、大きな社会の変化にはついていけないので、規模の拡大で色々な選択肢を確保できるようにならないと、働いている人間はいつまでも苦しいままである。
思うに、日本の経営者というのは、欲のスケールも小さいので大きな成長を志さないし、「自分のやりたいようにやる」ために経営している人たちが多く、社会の変化に適合しようとする意思を持った人間が、非常に少ない。
その辺が日本経済の停滞の一因だったりすると思うので、今まで通りの経営が通じない環境にするのは、正しいと思う。
ちなみにこんな記事もあるが、
本書ではそういった議論も踏まえ、丁寧に論旨を展開していく。
しかし、現実は後追いなのだろうか、
本書を読みだしたタイミングで、こんな記事も出だした。
需給関係では既に時給はかなり上がってきているので、にもかかわらずこのような政策を打ち出してきたということは、福祉政策ではなく、経済政策としての最低賃金を、政府も意識しだしているということかもしれない。
ぜひ多くの人に読んでもらい、それぞれの立場でなんらかのアクションに取り組んでほしいと感じる一冊である。
まぁ、ご参考ということで。