リンクを張る。
実際にあった遭難事例を、著者が丁寧に掘り下げ、登山者の学びにつなげようというシリーズの一冊。
本書では、タイトルから推察されるように、気象現象を起因とした遭難事例を扱う。
このシリーズは依然、こちらを読んだ。
ビジネス上の危機管理、オペレーション構築に役立てられないかと思って、シリーズ2冊目なのだが、いやほんと「山怖ぇぇ」である。
山登りといえば、学校の遠足以外は高尾山に一度だけという、完全インドア派の小生からすると、この日本に、こうもアッサリ人間が死んでしまう苛酷な自然環境が沢山あることに驚き(単に小生の知識不足なのだが)。
前回読んだ「道迷い」は、タイトル通り人為的ミスの要素が色濃いだけに、今回の気象遭難は特に、自然の怖さが際立つ。
とはいえ、本書の事例も、いくつかの判断ミスが垣間見える事例が多い。
もっとも、何のミスもなく自然の脅威に晒されて遭難するケースは、振り返りをしても学びの要素がなく、書籍として成立しなくなってしまうのかもしれないが。
ともかく、いくつか学びをまとめておきたい。
「道迷い」でもあったが、撤退の意思決定の難しさは、こちらでも共通。
せっかくここまで来たのだからと、無理をしてしまう心理である。
「気象遭難」の場合は特に、事前の情報収集の重要性が際立つ。
例年どんな環境変化が起こるエリアなのか、アタックする近い未来はどんな気象条件なのか、これをちゃんと理解しているかどうかがまず大きい。
その上で、実際にその場に遭遇してしまった際に、無理をするのか、しないのか。
さらに、人知を尽くしても避けられなかった脅威を前に、どれだけ気持ちを強く持ち続けられるか。
慎重すぎる判断は、大きな果実を失うリスクと裏返しであり、この辺りはビジネスと、同じ。
しかし、そのチャレンジで失うかもしれないものが人命だとすれば、それは極めてバランスが悪いのである。
ほんの少しの余裕、しっかりとした準備、撤退する勇気。
当たり前のことだが、重要である。
まぁ、ご参考ということで。