人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「『エンタメ』の夜明け」 読了 〜これこそ新規事業〜

まずはリンク。

 

冒頭申し上げてしまうが、これは圧巻に面白かった。

ディズニーランドを日本に誘致した男たちの物語である。

 

いずれも電通に縁のあった、小谷正一氏

ja.m.wikipedia.org

 

と、堀貞一郎氏である。

ja.m.wikipedia.org

 

本書では、この二人の人物伝を軸に、戦後日本のエンターテイメントの勃興・交流と、サブタイトル通り、ディズニーランド誘致・開業までのストーリーが語られる。

冒頭からいきなり、堀貞一郎氏が勝利をもぎ取った、ディズニー経営陣へのプレゼンの場面である。

 

これがあまりに魅力的で、グイグイと引き込まれていく。

そんなプレゼンされれば、そりゃ勝てるよ、である。

 

続いて、その堀貞一郎氏の師匠であり、日本にディズニーランドを呼べる地ならしをした(といっても過言ではあるまい)小谷正一氏のビジネス戦歴が綴られていく。

小谷氏について、小生は本書で初めて知ったのだが、井上靖の小説のモデルになるくらいの伝説のプロデューサーなのだそうだ。

 

ちなみに小説はこちら。

黒い蝶(新潮文庫)

黒い蝶(新潮文庫)

 
猟銃・闘牛 (新潮文庫)

猟銃・闘牛 (新潮文庫)

 

 2冊目は闘牛の方が、小谷氏をモデルにした作品のようである。

 

小谷氏の来歴が語られると同時に、戦後日本のエンターテインメント領域の群像劇のようにもなっており、ただただ「へー!」と感心するエピソードばかり。

著者の馬場氏は、企業人として広報の仕事についていた縁で、堀氏と面識を持ち、その後FMラジオでエンターテインメントの業界関係者にインタビューする番組を、20年に渡って運営していたそうだから、これらのエピソードの手触りたるや、である。

 

皆、何もないところから作り出していく荒削りさと、バイタリティを持ち合わせ、何よりも仕事を楽しんでいた様子が伺える。

まさに新規事業の醍醐味と、小生なんかは感じてしまう。

 

ディズニーファンが期待する内容ではないかもしれないが、ディズニーランドを楽しんだことがある人、ビジネス的にディズニーランドに興味を持っている人、エンターテインメントをビジネスにしようとしている人には、是非オススメしたい。

ビジネスのノンフィクションとして、圧巻の面白さである。

 

まぁ、ご参考ということで。