人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「大世界史」 読了 〜それでも時代を読むのは難しい〜

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ご存知日本の知の巨人、池上彰氏と佐藤優氏の二名が、世界の各エリア・各国に章を分けて歴史や文化、政治について対話をするという本。

会話形式なので非常に読みやすいし、対話することでお互いの引き出しがどんどん披露されてくるので、知的な満足度も高い。

 

とは言え、両氏の本を読み慣れた人(小生も含む)にとっては、特に目新しい情報はないと思う。

また、「世界史」を謳ってはいるが、歴史というよりは文化や政治(現代史)が中心で、このタイトルで良いのか、という疑問は残る。

 

タイトルで突っ込めば、サブタイトルの「現代を生きぬく最強の教科書」は明らかに言い過ぎ。

重要ではあるが教養としては一般的な部類なので、「常識」と断ずるにはハードルが高いけれど、大学出てるんだったらこれくらいは知っておいて欲しいなぁ、と厳しい先輩だったら言ってきそうなものである。

 

むしろ襟を正すべきだと思うのは、アメリカの章で二人とも、大統領選挙の共和党候補指名前のトランプ氏について、大統領になることなどありえない、というトーンで話題にしていることである。

あの二人ですら、国際情勢を読み間違えることがあるということなのだから、常に世界の動きは丁寧に情報収集し、虚心坦懐に分析するスタンスが大事だということなのだろう。

 

ちょっとシニカルな文章が多くなってしまったかもしれないが、価値のない本だと断じているわけではない。

世界情勢についてもっと広く知りたい、深く知る手がかりが欲しいと思っている向きには、興味の入り口としてきっと価格以上の価値を提供してくれるはずだ。

 

まぁ、ご参考ということで。