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大学の教養科目で心理学を取っていたりして、昔から心理学に興味はあるのだけど、Kindleのデイリーセールでレコメンドされ、最新の犯罪心理学事情に対する驚きを持った高評価レビューを目にし、興味を持って読んだ次第。
「犯罪心理学」というと、「羊たちの沈黙」とか、心理分析系のストーリーやノウハウ系の話を想起させ、興味津々だったりするわけなのだが、医学的にも統計学的にも有為な効果効能はなく、グローバルでは過去の遺物なのだそうである。
医学的なエビデンスがあるアプローチは認知行動療法のみ、ということになっていて、
フロイトやらロールシャッハ・テストやら、などなど、昔心理学の授業で取り上げられたおなじみのものは、残念ながらエビデンスが無いようである(フロイトはなんとなくわかる)。
とは言え、日本の臨床や犯罪の現場では、未だに心理分析等が活用されているらしく、それはそれで大丈夫なのかと不安になるが。
本書を読んでいて、エビデンスという言葉で想起させられたことはもう一つあって、結局、どのような犯罪が多いのか、ということを客観的に議論することの重要性である。
重犯罪が右肩下がりというのは、ある程度周知のことと思う。
結局は窃盗とか、詐欺になるし、その中で犯罪心理学が登場するケースというのは、その一部の累犯者にどう対処するか、という場面。
それ以外の犯罪もそうだが、累犯者の殆どの場合は、「患者としてのケア」が必要になる人物。
あえて誤解を恐れずに表現すると、やっぱり「普通じゃない」ので、刑務所に閉じ込めておくより、治療が必要というのが正解のようだ。
具体的にそれをどうするのか、というのはもちろん幅広い議論が必要で、本書では問題提起に留まっているが、一国民として深く考えさせられる。
ビジネス的な示唆を敢えてひねり出せば、エビデンスに基づく議論がいかに大事か、ということと、日々知見というのアップデートされているので、アンテナを高く持つべし、というところ。
なお、筆者の一線の臨床家、研究者としての謙虚さ、丁寧さについては、非常に好感を持った。
まぁ、ご参考ということで。